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結果フェイズ

■終幕シーン/アンドルー・キアラ

例によって録音しそびれたため以下略。

狩人御用達の病院に、重傷を負って運ばれたキアラとそれを見舞うアンドルーの姿があった。

アンドルー:「目が醒めたか、キアラ」
キアラ:「あ……あたし、生きて……」
アンドルー:「ああ、生きてる」リンゴを差し出す。
キアラ:「ひだだだだだだだ!!!」
アンドルー:「馬鹿、まだ動くな。傷は浅くないんだ。……家出していたらしくてな。ミスカの実家を見つけるのに随分難儀した」
キアラ:「……それって」
アンドルー:「あの身体を、見せたくないだろうから、こっちで勝手に荼毘に付した。今頃は遺骨が届いている頃だろう」
キアラ:「そ、そっかー……そりゃ残念だ……あ、リンゴもらうね……」で、ナイフで手の端を傷つけてしまうんですが……「あ……」切った手が尋常じゃない位震え始める。重度狂気の【臆病】の演出です。
アンドルー:「……」抱きしめる。「怖く、なったか?」
キアラ:「アンディ……あたし……もうダメかも知んない……」抱きしめ返す。「変身者は吸血鬼と戦わなきゃだめなのに……そうしなきゃ生きる価値なんてないのに……戦うのが、怖くなっちゃったよお!!! うわああああああん!!!!」泣きじゃくる。
アンドルー:「キアラ……」強く抱きしめて、「俺も、怖い。俺は、いつだって怖い。戦いの中で、お前を失うのではないかと、いつも恐ろしい。だが、お前の気高さが、俺をいつも支えていた。俺は、いつもお前に頼っていた」
キアラ:「ぐっ……ひっぐ……あたしだって、アンディがいなきゃダメだもん……」
アンドルー:「……そうだな。お前一人では、リンゴを食べる事もままならん。その震えは、俺の震えでもある。だから、二人で止めよう
キアラ:「うん、うん……」
アンドルー:「だから、今は休め……俺達には、まだまだ味わうべき幸福が残っているんだから。戦いだけが、俺達じゃあないさ」なでなで。

泣きじゃくるキアラを、アンドルーはただ抱きしめることしかできなかった。

■終幕シーン/騙

騙:ミスカのところか……ミスカの家に行きたい。
アンドルー:すごいくだらんことを思いついてしまった。マツリちゃんの遺志をついでマリカの日本ランカーになる。
一同:(笑)
GM:転向っぷりがすごい。
騙:バベルネットで調べて墓参りに来たということにしましょう。作られてますよね。滅土破戒宗でしたっけ。守れなくてすみません、みたいなことを。殴られたかもしれない。
ミスカ:殴られるかなあ。両親も狩人だし。
騙:あー。
GM:覚悟はできてるんじゃないですかねえ。納得できるかどうかはともかくとして。
騙:それで墓に案内してもらって一人にしてもらって……「ミスカ、久しぶり。狩人やってたら、こうなることくらいあるって分かってたのによ。今もまだ……あの時メールしなかったら、って、考えちまうんだ」
アンドルー:あ、そうだった。お前が呼び出したんだったな。
騙:すいませんホントすいません。携帯には「すぐ行く」って書かれたメールが残されてますね。
GM:騙はいっぺんに二人も失ったんですね。
アンドルー:そりゃ記憶も失う騙は狂気が4を超えたため軽度狂気を得たが、それが【記憶喪失】だった。わ。
ミスカ:しばらく彼女とか作れないよね。
騙:スマホのスリープボタンを押して、ポケットに入れて目をつぶる。「だけど、当然、後は追わない。お前の分まで、狩人として頑張って生きていくから……見ていてくれよな」
ミスカ:ちょっと、シーンに登場していいですか?
騙:はい。
GM:何が出てくるんですか?
アンドルー:あれだろ、墓から手がズボォっといきなりB級映画に。
一同:(笑)
ミスカ:怖いわ!
GM:次の吸血鬼はそいつです。

「にゃあ」
見覚えのある白い猫が墓の上に登り、マフラーを置いてすぐ去った。

キアラ:ああ。
ミスカ:すあまは実家の猫に戻ります。
騙:一緒に戦おうよ。
アンドルー:レベル3になったら猫も主武装に追加。意外と強いかも知らん。
ミスカ:すあまはやだよ。なんでこんなガキの面倒見ないといけないんだ
GM:ひどい(笑)。
キアラ:猫にも選ぶ権利はあった。
騙:このマフラーは……墓へのお供え?
ミスカ:いや、あげたんだよ。形見
騙:じゃあ、そのまま巻いて行こう。「すあま……元気でな」
ミスカ:いざとなったら息災のお守りとして使ってください。
キアラ:消耗品になってしまった。
騙:お墓を去ります。その後、騙は学校を休みます。
アンドルー:修行か! 付き合うぜ。
騙:いや、海外に行きますね。
ミスカ:あ、やっぱりね。
アンドルー:海外進出やな。ゴッサム・シティでバットマンに会う。
GM:えっなんで海外? ぼくはわからないんですけど。
キアラ:まだわからない。
騙:海外に行って……いろんな建物を見て、それをスマートフォンで撮ったりして帰ります。
GMああー!(わかった)
キアラ:ああー。(わかった)
騙:最後に、ゲーセンに行きます。適当なアーケードゲームをやって……

その向こうにマツリがいる未来はすでに失われたことを知って、騙は涙を流した。
「……隣に、お前がいればなあ……」

ブラッド・クルセイド『枯れゆく茉莉』完

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