GM
そんなわけで……
GM
あなた達は荒野をえっちらおっちら歩いて、枯れ葉屋敷へとやってきました。
GM
岩山の中にぽつんとたたずんでいる洋館ですね。
GM
この世界では初めて見るかもしれない文明です。
GM
文明と言うか文明の残滓みたいな。
GM
ありすはあなたたちを先導し、軋む門扉を開いて、屋敷の中に入っていきます。
GM
すると数十名にも及ぶ、屋敷の住人とおぼしきものらが、おかえりなさいませ、と口々に挨拶します。
GM
どうやら、ありすの下僕のようですね。
GM
人間と似た姿かたちをしています。
GM
おおよそあなた達の知る人間なのですが、
GM
中には、兎耳が生えていたり、鳥の翼のようなものが生えていたりと、少し妙な格好をしているものもいます。
サニシャ
不思議そうに軽く会釈。
ありす
「この子達は、新しく迎え入れたペットよ! みんなも仲良くしてあげてね!」
GM
恭しく、頭を下げる下僕──ペットたち。
GM
心の底からありすに心酔して、崇めているものもいれば……
GM
どこか難しい表情をしているものも混じっています。
GM
目が合うと、視線をそむけたり。
GM
さて、
GM
あなた達は屋敷の中の一室に案内されます。
GM
ベッドのような最低限の家具だけがあります。
GM
現代人基準では、あまりいいベッドとは言えませんね。
GM
布団は虫に食われていたり、シーツは変色していたり……
GM
まあ、ベッドに限らず、この屋敷が全体的にそういう感じなのですが。
ありす
「今日からここで暮らしてもらうからね」
ありす
「出歩くのはいいけど、屋敷の外には出ちゃだめよ」
ありす
「もっとも……出たら、死ぬだけだけど」
ありす
「この屋敷の中で、おとなしくありすの言う事を聞いていれば、安心よ」
ありす
「わかったかしら? 返事は?」
ニコレッタ
「……」
ななせ
「…………は、はい」

とりあえずはいって言っておこうの顔。
サニシャ
「わかりました」こくり。
ありす
「うんうん、よろし……」
ありす
「あら?」
ありす
「返事のない子がいるわね」
ニコレッタ
「おいおい、そいつは誰だろうなァ~」
ニコレッタ
「悪いヤツもいたもんだぜ、なあ」
ありす
「あ・な・た・よ、あなた!」
ありす
ビシッと指をつきつけます。
ニコレッタ
「何だオレかよ。へいへい、わぁかってるって、大丈夫心配すんな?」
ニコレッタ
「ちゃぁ~んと聞いてたよ。ああ」
ありす
「もう。わかってるならいいわ」
ありす
「ありすはやさしいから、ちょっとぐらいの生意気は許してあげるわ」
ありす
「でも、あんまり言うことを聞かないと」
ありす
「悪い子は、おしおき、だからね」
ニコレッタ
「おい聞いたかお嬢ちゃん、気を付けろよ」
ニコレッタ
ななせの肩をポン、と叩きます。
ななせ
「うぇっ僕!?」
気を付けるのはそっちだろ…という視線を返します。
ありす
言うだけ言って、ありすは部屋を去っていきます。
GM
ひとまずは自由時間が訪れました。
サニシャ
「……暮らしてねと言われても。どうすればいいのでしょうか」
ニコレッタ
「さァ~な。住の保証はしてくれるってだけでありがてえ話だけど。食はどうなんだろーな?それ次第じゃねえか」
ななせ
「……なんかどっと疲れた。
ていうか、本当にここでずっと暮らすわけ……?」
ベッドを見て、うぇ…となります。現代人並感。
GM
家賃3万のアパートといい勝負な住環境です。
GM
掃除はされているみたいですが、屋敷自体のボロさはどうにもなりませんね。
ニコレッタ
「悪くねえとこだが、ずっとって言われるとな。飽きが来るかもしれねえな~」
ニコレッタ
「まぁ、そん時ゃ脱走して化物狩りでもするか?一緒に」
GM
タフなご意見
ななせ
「……うーん」
ここで暮らすのとどっちがマシだろうと考える顔。

「あなたが僕のこと守ってくれるならまあ……」
ニコレッタ
「な~んでオレがそんな事しなきゃなんねえんだよ。手前の身は手前で守るもんだろ」
ニコレッタ
「どっちがうっかりおっ死んでも恨みっこ無しだ、なァ」
ななせ
「チッ……」
そりゃそう。
GM
舌打ち
サニシャ
「大丈夫ですよ。私が守りますから。ね?」
味方アピール
ななせ
「…………」
ななせ
「じゃあ、よろしくお願いします?」

もうなんか全方位怪しいので優しそう(?)な人につく人。
GM
それでいいのか?
サニシャ
「では……これも何かのご縁です。脱出するにせよ、残るにせよお互いに簡単な自己紹介でもいかがですか?
名前くらいは知らないと不便ですし」
ニコレッタ
「いいぜ、但し言い出しっぺのお前からやってくれよ」
ななせ
「そういえばそうだ……」

言い出しっぺの名乗りを待ちます。
サニシャ
「構いませんよ。私はサニシャとお呼びください。
 どうやらこの世界ではあの鏡で不思議な力が使えるみたいです。今は──どうしても出せないようになってしまいましたが」
お次どうぞ、手を差し出す。
ニコレッタ
「オレはニコレッタ。ニコでいいぜ。
ブン殴るのが得意だ、ま、さっき見たよな。
……あれは何か、いつもより妙にキマっちまったけど。オレも今は──あの感じがねえな」

じゃあ最後、びしっと指をさす。
ななせ
「えっと……僕は、ななせ…です。
えー…、……なんだろう。
別に特別な力とかはないと思うんだけど……でも、確かにあの時は何か不思議な感じは…あったかな……今は、ないけど」
サニシャ
「はい。ありがとうございます。どうやら同じ境遇の私達はみんな不思議な力が使えるみたいですね」
サニシャ
「けれど今は……どうしてか失われてしまったかもしれない、と。
 現状では力任せに解決するのは難しいと判断しましたがみなさんはどうですか?」
ニコレッタ
「ハ。……オレらをペット扱いする、あのクソ"ご主人様"の力を見極めねえ事には、何とも言えねえな。……とりあえず様子見ってトコか」
ななせ
「……うん。そうだね…」
ふたりの言葉に同意します。
GM
屈従するか、反逆するか、脱走するか……
GM
いずれを選ぶにしても、まだ情報が足りないかも知れません。
GM
あなたたちは知る必要があるでしょう。
GM
ありすについて。お互いについて。
GM
そして、この世界について。
GM
導入が終わり……
GM
ここから、お茶会となります。
GM
お茶会とは、来る『裁判』に備えて、仲間との連係を強くしたり、敵の戦力を削いだり、といったことをするフェイズです。
GM
必ずしもお茶を飲む必要はありません。
GM
お茶会はラウンド進行となり、各PCが好きな順番で一回ずつ動くことができます。
GM
お茶会でできる行動は四種類です。
GM
『心の疵を舐める』
GM
PCたちがお互いの疵を共有し、慰め合う行動です。
GM
カウンセリングじみたことをしてもいいし、仲良く話した結果なんとなく舐められたことにしても大丈夫です。
GM
仲間の心の疵を一つ選び、判定に成功すると、疵の状態欄を○にすることができます。
GM
○(白丸)になった疵を持つ対象には裁判中援護をすることができ、様々なボーナスがあります。
GM
このシナリオでは一番重要な行動になると思います。
GM
『心の疵を抉る』
GM
敵対者の心の疵に触れ、刺激することで心を乱す行為にあたります。
GM
心の疵……トラウマや異常性を刺激され、晒されるということは、裁判に於いても弱点を丸出しにするのと同義となります。
GM
舐め同様に対象の疵を選んで判定し、成功することで、●(黒丸)状態になります。
GM
●状態の疵を持つキャラは、抉ったキャラからのダメージが上がります。
GM
『空気を読む』
GM
判定に成功すると、技能を入れ替えることができます。
GM
『小道具調達』
GM
判定に成功すると小道具を一つ手に入れることができます。
GM
以上です。最初二つの行動を主に選ぶことになるでしょう。
GM
このシナリオのお茶会は、一ラウンドです。
GM
つまり、三人が一回ずつ行動したら、裁判に移行します。
GM
PK……ありすは三回行動します。
GM
まずありすのデータを公開しましょうか
GM
少々お待ちを
GM
このようなデータです。
GM
簡単に動き方を説明すると、「肉壁」で配下を盾にして、その間に「祝福」を使って自分の威力を上げます。
GM
配下が全員倒れると「孤軍」「窮鼠」で行動回数が上がってパワーアップするので、強化された「怨讐」を三回打ってPCを粉々にしたいな、と思っています。
GM
お茶会でシーンをやるときは、館シーン表を振ってみてもかまいません。
GM
説明は以上です。気になることがあれば、どうぞ。
GM
そうそう、チュートリアル裁判で減らしたHPと小道具は、もとに戻していただいて大丈夫です。
[ サニシャ ] HP : 5 → 21
[ ニコレッタ ] HP : 6 → 18
[ ななせ ] 日刻みの時計 : 0 → 1
GM
特になければ、お茶会開始です。
GM
ご相談の上、誰から行動するかを決めて、宣言してください。
ななせ
では1番手ななせ行きます。
シーン表どうしようかな。とりあえず振ってみようかな
GM
特にやりたいシーンが思いついてないなら、振ってみるのもいいですね
ななせ
1d12 (1D12) > 10
GM
アトリエ。
ななせ
アトリエへGO。
サニシャちゃん舐める予定だけど~せっかくなら3人で行きたい気持ち…ある
サニシャ
とりあえず登場します(3人でもOK)
ニコレッタ
じゃあシーンには登場しつつスポーティーな視線を送っておきます。
GM
人のシーンに登場するのはだいたい自由です。特にデータ的な何かには影響しません
ななせ
わ~い
じゃあ3人で洋館うろうろしてアトリエ見つけた感じで……
GM
そう数は多くありませんが、絵画が額縁に入れられて飾られています。
GM
何をテーマにしたのか不明瞭なアブストラクトアートや、形容しがたい表情をしている人物画など、どことなく見ていると不安になってくるかもしれません。
GM
外からの光もない薄暗いこの部屋は、ややホラースポットです。
ななせ
アトリエ内へと足を踏み入れて。
並んだ絵画へ、順番に視線を巡らせます。

「……なんか、全部気味悪いな。
ホラーゲームかよ……」
GM
彫刻とか、背を向けた瞬間に追いかけてきそうな雰囲気がありますね。
ニコレッタ
「ゲージュツってのはオレにはよくわかんねえなあ」

全く同意とも言いかねるけれど、大体近いニュアンスの印象を抱いています。
GM
画家が怖がらせようと思って描いたのか、
サニシャ
「いわゆる、芸術的というものなのでしょうか?」
こちらはなんだかのんびり。見た事のないものをみるような様子であたりをきょろきょろ。
GM
それとも精神に支障を来していたのかは、判断のつかないところです。
GM
「ここは以前この屋敷を訪れた方が描いた絵なんですよ」
GM
アトリエの隅っこから声がします。
ななせ
ビクゥ!
GM
「あ、驚かせてしまいましたか? すみません」
GM
暗がりから、ぴょこんと白い兎の耳が出てきます。
GM
導入で皆さんを出迎えていたペットのひとりですね。
GM
耳以外はだいたい人間です。
ニコレッタ
「訪れた奴ってのは、オレらみてえに捕まんなかったのか?」
GM
「まあ……拉致されたというのを、おしゃれに言い直すと、訪れたと言えなくもない、みたいな感じですよ」
GM
はははと笑っています。
ななせ
「……えぇ」
ニコレッタ
「いいねえオマエ、センスあるぜ」
GM
「恐縮です」
サニシャ
「私達も何かしたためれば此処に飾られるのでしょうかね」
GM
「飾るものが増えればご主人さまも喜びますよ、といいたいところですけど……」
GM
「この世界は、画材の一つすらも贅沢品ですからねえ」
ななせ
「ふうん……。その贅沢品でこんな不気味なモン描くのか……」
GM
「元の世界では画家だったそうで」
GM
「堕落の国に招かれた際に、持参したもので描いたのだそうです」
ニコレッタ
「ところで、その言い方だとよ。
ニコレッタ
「そいつ、もうここには居ねえのか?」
GM
「ああ……」
GM
「その方は、もう一ヶ月ほど前に」
GM
視線を泳がせる。
GM
「……出ていかれましたよ」
サニシャ
「そうなんですね……是非お話が聞けたらと思ったのですが……仕方ありません」
ニコレッタ
「……ハ。なるほどねえ」
ななせ
「…………」
きっと、言葉通りの意味ではないのだろうな。
GM
白兎はそそくさとアトリエを出ていきます。
サニシャ
「今の話が本当なら私達にも希望がありますね!」
二人の方へ嬉しそうに。
ニコレッタ
「お~~、そォだな~~~」
ななせ
「……え?」

「……純真無垢か?」
思った言葉がそのまま出た。
サニシャ
「?」
よく分かっていない。小さな世界で暮らしてきたという意味では確かに純真無垢かもしれない。
ななせ
「……そういえば、サニシャさんって、それ、目見えてるの?」

地味に気になっていたことをついでみたいに聞く。
サニシャ
「はい。見えていますよ。皆さんのお顔も、このお屋敷の装丁も」
サニシャ
「この当て布のお陰ですね。これがないと、真っ暗になってしまうから、困っちゃいます」
ななせ
「……?
布がないと、逆に見えないってこと……?」
サニシャ
「その通りです。ややこしいですが、決して目隠しではないのです。
 私も、私と同じように救世主として生まれた者は皆これを通して世界を視るのです」
サニシャ
「……私の居た所では、の話ですけれど」
ななせ
「救世主として……」

その言葉は、自分にとってはこの世界に来てから聞いたもののように感じるけれど。

「サニシャさんは、元の世界では救世主として生まれたんだ…?」
サニシャ
「はい。まさかこの世界でも救世主と呼ばれるなんて想像だにしませんでしたが──生まれた時からずっと」

胸に手を当てて向こうの景色を思い出すように。
おかしな布以外はどこにでもいる普通の少女と変わらない。
サニシャ
「私の集落では、20年に一度、とてもきれいな瞳を持って生まれてくる子どもが現れるのです。
 それが私。その子たちは皆儀式を経て『救世主』として育てられます」
サニシャ
「救世主と言ってもやることはないんですけれどね、ふふっ」
お飾りかもしれません、と笑いながら話した。
ななせ
「へぇ……」

なんとも不思議な話だ。
まるで漫画や小説でしか聞かないような生い立ちの少女が、目の前にいる。
まあこの世界に来た時点ですでに自分の中の現実感からはかけ離れているが……。

「……特別なんだな、サニシャさんは。
あのありすって子よりずっと救世主っぽいよ」
サニシャ
「光栄です」

言葉に深々と礼を添えた。
サニシャ
「どちらが優れている、とは言いませんが。
 先ほども申したように救世主として生きられるなら彼女とは違うやり方で行きたいのです。生きるだけではなくて……誰かを、何かを救いたい」
サニシャ
「もちろん、ななせさんも、ニコさんもです!
 私は名実ともに救世主なのですからそう思うのは当然ですよね?」
ななせ
「…………」

先の言葉は、ありすが己を救世主だとのたまうのがちょっとイラっとするという個人的な感情から出ていたのだけれど。

サニシャの、救世主としてあろうとする姿勢は。

「まじで光の救世主すぎて……眩しい……」
ななせ
「……うん。僕、サニシャさんについてく。
僕達の救世主になってよね」
サニシャ
「本当ですか!とっても……言葉にできないくらい、嬉しい……」
ななせ
サニシャちゃんの救世主妄想を舐めます。才覚で
GM
はい。どうぞ
GM
2d6+能力値で7以上を出せば成功です
GM
お茶会には敵の判定を邪魔する横槍というムーブもあるのですが
GM
今回はPKはそういうことをしないので、しません
ななせ
あ、ティーセットでここで使わないと使う機会もうないかな
GM
横槍の判定のためにとっておくのもありです
ななせ
そうだった
GM
横槍はランダム能力値判定なので、苦手な値が出ることもありますからね
ななせ
じゃあとっておこう…
ななせ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 4[2,2]+3 > 7 > 成功
GM
ちょうど成功ですね。
[ サニシャ ] 疵:救世主妄想 : 0 → 1
GM
引き続き演出があればどうぞ。
ななせ
「……ふふ」

「頼りにしてるからね、救世主さま」
サニシャ
「こんな風に望まれるなんて初めてできちんとお応えできるか分かりませんが──」

「喜んで!ありがとうございます、ななせさん」
ニコレッタ
「しっかし見れば見る程、わっかんねえな…」

芸術品のひとつ、薄暗い色で塗りたくられた風景がのようなものを見ている。
ニコレッタ
「どーせなら、もっと綺麗なもんならわかりやすいだろーに。ひねくれたやつだったんだろーなァ~」
GM
堕落の国に来る人は、だいたいみんなそういうものなんですよ。
ニコレッタ
ニコも人の事はあんまり言えないですしね。
GM
アトリエの窓から外を見ても、やはり代わり映えのない荒涼とした光景が広がっているばかり。
GM
あまり創作意欲が刺激されそうな風景とは言えなさそうです。
ニコレッタ
「魔大陸とさして変わんねえ、つまんねえ景色だぜ……」
GM
……
GM
さて
GM
お茶会はPCの行動の間に、PKが規定回数割り込んできます。
GM
このシナリオでは三回割り込んでくるので、PC全員の行動に対して割り込んでくるということですね。
GM
つまり今です。
GM
さて
GM
誰足獣を抉りましょうか
GM
ニコレッタさんに登場していただきたいですね 一人で
ニコレッタ
1d12 (1D12) > 11
GM
庭園ですね。
ニコレッタ
さて、アトリエで3人行動をするのに飽きて──独り、館内を歩き回る事にした。
手始めに、目についた庭園の方へと足を運ぶ。
荒野の景色、見慣れたそれと同じばかりのこの周辺にも見飽きていたから、緑色が目についた。のだが。

「……なんだこりゃ。造りもんじゃねえか」

ここにあるのは天然の植物では無く。
すべて造花ばかりだ。
ニコレッタ
「まァ……周りがあんなんじゃな、そうなるかァ……」

ハァ、と溜息を吐いて。それでもぶらぶらと眺め歩いている。
GM
庭園を走る橋がかかる水路も、流れる水はなく、ただの枯れた溝と化しています。
GM
かつてはこの庭も本物の花々で賑わう場所だったのかもしれません。
GM
手入れ自体は下僕たちにされているのでしょう。小綺麗な廃墟です
ありす
「あら、ニコレッタ」
ありす
うろつくあなたを呼び止める声。
ニコレッタ
「げっ、ありす……」
ありす
「探したのよ。そろそろご飯の時間よ」
ありす
「……げ、とは何よ~」
ニコレッタ
「あァ~?いやいや聞き間違いだろ。メシだって?了解了解!すぐ行くぜェ~」
ありす
ため息。
ありす
「慌てなくていいわ。ちょっとお話しましょう」
ニコレッタ
「……」
ありす
庭園に備え付けられているベンチを指し示します。
ありす
座れということらしいですね。
ニコレッタ
「あ~……仰せの通りにってかァ」

指し示されたベンチに座る。
会話は情報。断る理由も、今は無い。
ありす
「そうそう。それでいいの」
ありす
ありすは座らない。立ったままあなたを見下ろす。
ニコレッタ
「そっちは座らねえのか~、ご主人サマよぉ」
ありす
「立ってるより座ってる方が、あなたはかわいいのよ。頭が高くないし」
ニコレッタ
「ハ。でけえのは生まれつきでね」
ありす
「あとはそのなまいきな口のききかたを、少しは反省するべきなのだわ」
ニコレッタ
「そいつは育ちの悪さのせいだからな~。大目に見といてくれねえかァ?」
ありす
「育ちが悪い獣は、なおさら躾け直す必要があると思わなくて?」
ありす
「ねえニコレッタ」
ニコレッタ
「なんだよ、ご主人サマ」
ありす
「あなた、別にありすに飼われていなくても、この世界で生きていけるって思ってるでしょ」
ニコレッタ
「……さァて、どうだか?メシも住処も用意して貰ってんのに、そんな事考えるヤツいるのかねえ」
ニコレッタ
「オレがそんな不心得者に見えるかァ?いや、無いねえ。そうだろ、ご主人サマよお」
ありす
「よくさえずるのね」
ありす
携えていた鞭を振ると、それがあなたの首に絡みついた。
ありす
そうして問答無用で引き、あなたを地べたに引きずり倒した。
ニコレッタ
「ぐげッ……」
ありす
「大人ってきらいだわ」
ありす
「そうやって口先で、“こざかしいこども”を誤魔化そうとするのよ」
ありす
背中を踏みつける。
ありす
「だからあなたの話なんて聞いてあげない」
ありす
体重をかけながら、ゆっくりと、ゆっくりと鞭を引っ張る力を強くしていく。
ありす
「ころされないって思ってる?」
ありす
「ころす理由なんてないって思ってる?」
ありす
「いいえ、あるの。ありすには、あなたをころす理由が」
ありす
「ころしてもいい理由が」
ニコレッタ
「……どんな理由が、 あって。 ンな事を……」
ありす
「“救世主の せきむ”」
ありす
「救世主はね……」
ありす
「あなたたちのような、堕落の国に招かれた人を」
ありす
「30日に一度、ころさなければいけない」
ありす
「そんなルールがあるの」
ニコレッタ
「……ルール、だと……」
ニコレッタ
「んなもん、守らなきゃいいだけだろうが……!」
ありす
「こどもでもしってるわ。悪いことをしたら、罰があるの」
ありす
「『人喰い三月』を見たでしょう」
ありす
「あれは……」
ありす
「ルールにしたがわなかったこの国のにんげんの、末路のすがた」
ニコレッタ
「────!?」
ありす
知性のない、狂気だけに突き動かされる怪物。
ありす
いずれそうなると、この救世主を名乗る少女は言っている。
ありす
「まあ、ひょっとしたら、あなたやありすはそうならないかもしれないけど」
ありす
試してみたいという気にはならないよね?
ニコレッタ
「……ハ、はは。ククク……なるほど、なるほど。そりゃあ十分に理由になる」
ありす
ありすのいうことが、本当だとしての話だけど。
ニコレッタ
「それで。オレを殺すのか。その為に連れてきたってワケか。30日に1匹ずつ、殺して。"お前は"その責務を果たしてるってカラクリかよ」
ありす
「かんちがいしないでね」
ありす
「ありすは、最初っからそうするつもりで、ここに人を連れてきたりなんてしない……」
ありす
「けど」
ありす
「言うことを聞かない悪い子を、ずっとまもってあげる余裕もないのよ」
ありす
力を強める。
ありす
あなたの視界が濁る。
ニコレッタ
「……っげは……」
ありす
不明瞭な視界のなかで、実体のないはずの死が、輝くのがわかる。
ニコレッタ
呼気が漏れる。肺がつぶれていく。
痛みが鋭く、それが徐々に鈍く。
──視界が滲む。だが意識はまだ、途絶えない。
苦しい。ああ、苦しい。ああ。ああ。

──死んでしまいそうなぐらいに。
ありす
*愛でニコレッタの「恐不感症」を抉ります。
GM
さて大変なことになりましたが
GM
なんと、ここからでも入れる保険があります
GM
それが横槍です
GM
お茶会中の判定に成功してほしくないキャラは、HPを1点支払って横槍を宣言することができます
GM
横槍をするキャラはランダムな能力値で判定死、成功すると、その判定に-1d6のペナルティをつけることができます
GM
自分への抉りには自分で横槍を入れることはできません。仲間って大事ですね
サニシャ
*横槍します。
GM
ではランダムに能力値を決めるぞい
GM
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
GM
猟奇で判定せよ!
サニシャ
*ティーセット使います。
GM
はい 減らしておいてくださいね
[ サニシャ ] ティーセット : 1 → 0
[ サニシャ ] HP : 21 → 20
サニシャ
2d6+0+2>=7 (2D6+0+2>=7) > 7[5,2]+0+2 > 9 > 成功
GM
すばらしいです!
GM
では、1d6を振ってください
サニシャ
1d6 (1D6) > 1
GM
おやおや
GM
ヤリイカがあれば、このタイミングで使うこともできますが……
GM
持っていませんね
GM
でも、実はお茶会中のアイテムの受け渡しは自由なので
GM
今誰かからもらっても大丈夫です
GM
もちろん、貴重なヤリイカなので、温存する選択肢もアリです
GM
持ってるわ
GM
見間違えてた
GM
失礼失礼
GM
改めて、ここでヤリイカを使うと、横槍効果量を+2できますがどうしますか?
サニシャ
*ヤリイカも使います!
[ サニシャ ] ヤリイカ : 1 → 0
GM
はい。-3になりました
ありす
*ティーセットを使います。
[ ありす ] ティーセット : 3 → 2
ありす
これで相殺して-1ですね
ありす
では判定します。
ありす
2d6+3-3+2>=7 愛 (2D6+3-3+2>=7) > 8[3,5]+3-3+2 > 10 > 成功
ありす
成☆功
ありす
成功したので、ニコレッタさんの疵が、えぐれて、しまいますね~
ありす
該当する疵を-1にしておいてくれると助かります
[ ニコレッタ ] 疵:恐不感症 : 0 → -1
ありす
YES
ありす
演出を続けますか
ありす
……
ありす
あなたを助けようとするものはいない。
ありす
ありすの他には、立ち並ぶ造花だけが、あなたを見下ろしている。
ありす
「ふふ」
ありす
「さいごにさえずることはある?」
ありす
「それとも、もう──声も出ない?」
ニコレッタ
「…………」
ニコレッタ
「……く た ば れ ……き、ひひ……」
ありす
「そう」
ありす
あなたの背に靴跡を深く刻んで、鞭を引く。
ありす
あなたの意識は、闇へと落ちていくだろう。
ありす
……
GM
庭園に、ありすの姿はない。
GM
誰か訪れるものがいれば、倒れ伏すニコレッタの姿だけが見つかるだろう。
サニシャ
──サニシャはニコレッタを探していた。
飽きた、と散策に向かったにしては随分と遅い。
入れ違いに庭園を訪れたときは、全てが終わっていた。
サニシャ
「……ニコさん?」
駆け寄る。あなたには歩くように見えるスピードで、膝をついて頬に触れた。
GM
生き物の温かさはある。息はしている。
サニシャ
「よかった。生きてる……」
サニシャ
今度は意識を取り戻すよう揺すってみる。
ニコレッタ
「…… ……ぅ。……な……?」

倒れたまま、瞳がゆっくりと開き、そちらを見た。
サニシャ
「私です。サニシャです。庭園で倒れていた所を見つけて……大丈夫ですか?」
ニコレッタ
「──」

混濁する意識を正常化させようと、二度、三度。無理やりに頭を揺り動かし。

「……ああ、大丈夫だ。なんでもねえ……」
サニシャ
「……ななせさんを呼んできますから。一応ここで休んでいて下さい。
 それからみんなで食事に行きましょう」
ニコレッタ
「……悪いな。そうしてくれるか?
 ちょっとすぐは、動けそうにねえ……」
サニシャ
「余計な一言かもしれませんけれど、安心してください。
 私はあなたの味方ですから──」
背を向ける前に一言加えて、庭園を後にするだろう。
ニコレッタ
「……おありがてえこって」

付け加えられた一言を、余計と言い捨てる事も難しい程に。今はただ億劫で──、その場に大の字に寝転んだ。
ニコレッタ
「……下着が、気持ち悪ぃ……」

庭園の天を仰いで。
ただ眉根を寄せるぐらいの事しか、今は出来なかった。
サニシャ
次は私が手番いただきます。
GM
OK
GM
前回の手番は食事がすぐみたいな話でしたが、シーンの方は自由にしていただいて大丈夫です。
サニシャ
ニコさんに疵舐め行く感じで……シーン振って考えますね
サニシャ
1d12 (1D12) > 3
GM
3 厨房。調理器具が保管されている。かまどがあり、ここにも石炭が用意されている。
GM
では皆さんは食堂へと集められました。
GM
例の長いテーブルに、他のペットたちと一緒に座らされます。
GM
ほら……あの長いテーブルだよ。わかるだろ?
GM
お誕生日席にはありすがいます。
GM
さっきあんな大変なことがあったばかりですが、何食わぬ顔ですね。
ありす
「遠慮しないで食べるのよ!」
GM
さて、肝心の食事の内容ですが……
GM
なにやらハンバーグらしきものに、見たこともないキノコを添えたもの。
GM
ほんのりと色と香りがついている、かろうじてスープと分かるお湯。
GM
etcetc……
GM
おおよそそのような感じの品々が並んでいます。
GM
どうも食材が潤沢ではないらしく、ペットによって微妙に品が違ってたりします。
GM
ただ、ペットとありすで食事のグレードに大きな違いはないようですね。
GM
あ、あとそうですね。飲み物としてゴブレットに赤ワインが注がれています。
GM
未成年どころか皆さんの誰よりも年少に見えるありすの前にも、ワインはあります。
GM
未成年飲酒を気にする風土ではないのかもしれません。
GM
味ですが……
GM
皆さんの過ごしてきた環境によっても受ける印象は違うかも知れませんが、
GM
まあ、おいしくないです。
GM
ハンバーグは、噛んで口に含んでみると、臭みが鼻を突き抜けてきます。
GM
香辛料が満足に使われていません。
GM
それどころか、かさ増しするために肉以外の、食材としては本来使われない何かが混ぜられている気がします。
GM
スープは舌に乗せれば、不快なザラつきが口の中に残ります。
GM
ワインが一番マシかも知れません。口の中に残る不快さをアルコールでごまかせるという意味で。
GM
その他の品々もおおよそそういう感じです。
GM
ひどい料理かもしれませんが、ペットたちは喜んで食べています。
ありす
「今日は豪華でしょ! 新しい肉が入ったから奮発したのよ~」
GM
まあしかし、食べないと死んでしまうし、ありすも似たようなものを食べていることから……これ以上のものが隠されているという可能性も低そうですし……
GM
食べるしかないですね。
サニシャ
「はむ」
周囲が食べ始めるのと同じくらいに口にした。匂いや食感はあまり気にしていなさそう。
ななせ
いただきます、と小さく呟いて。
躊躇いながらもハンバーグらしきものをひとくちぱくり。

「…………ぅェ」

引きつった顔……になりそうになるのを必死に堪えました。堪えられてないかもしれません。
ニコレッタ
「…………」

黙って食事を口に運んでいる。
体調も悪いし味も悪い。
しかしそれを騒ぎ立てる気力も無かった。
白兎
(あっ! もどしちゃだめですよ!)
白兎
近くの席にいた見覚えのある白兎が、気分悪くしてそうなななせさんを注意します。
白兎
(貴重な食べ物を粗末にしたら、ご主人さまに叱られますよ……)
ななせ
「……!………ごくん」

なんとか飲み込みました。
ワインをぐいっと飲んで誤魔化しつつ。
白兎
(ホッ……)
サニシャ
「……コクン。お肉ですって。
 ニコさんの元気もつくでしょうか……?」
さっきの今なので横目に見ながら。
食べれられない事は無い。資源が少ないにしてはまぁ、ある方なのかも、と思っている。
GM
ちなみに大洪水を浴びていたニコレッタさんはわかるかもしれませんが、この赤ワインは人喰い三月が出していたアレと同じ味がします。
サニシャ
(あんなに勢いよく流しこんで……ななせさんは美味しかったのでしょうか?)

ニコレッタ
「んなすぐに元気になるか……」

口に運ぶペースが遅くなってしまう分、相槌を返すのにも苦労はしない。
GM
ダメージ残ってる
サニシャ
「薬でもあればよいのですが……」
ニコレッタ
「資材が心もとねえってんだ、そんなイイもんあるわけねえさ」
ななせ
(サニシャさんは普通に食べてるけど平気なのか……?)
(……ニコさんは、何があったかはわからないけどすっかり元気ないな)
GM
ありすは持っているかもしれませんが、まあ出してはくれないでしょうね。原因が原因なので
サニシャ
「それもそうですね。
 でしたらえっと、食事が終わったら厨房に行ってみませんか?何か元気になるものが見つかるかもしれません」
果たして許して貰えるかはわからないが。
サニシャ
この間、同じペースで食事を口に運び続けている……
ななせ
ななせは黙り込んでひたすら食事と格闘しています。
GM
サニシャさんの出身での食生活が偲ばれます
ニコレッタ
「……そーだな。オレの事はともかく。お嬢ちゃんの口直しに何かいいもんがあるかもしれねえし」
ななせ
キュン
GM
好感度が上がる音だ
GM
つつがなく食べ終えるなら、みんなでごちそうさまの挨拶をして、ひとまず解散になります。
GM
その後で厨房に行くチャンスはあるでしょう。
サニシャ
──無事に(?)食事を終えてから、片づけが終わって閑散とした厨房へと入る一行。
「失礼します~……」
ニコレッタ
「…………」

後をついて入ります。徐々に顔色は回復しつつある。
GM
では、そこで皆さんを待ち受けていたものは……
GM
扉が開かれ……
GM
暗闇を光が照らし……
GM
姿を晒すのは……
GM
あの……
GM
人喰い三月!!!!!!!!!
GM
の 上半分です。
GM
上半分だけになった人喰い三月の巨体が厨房に吊るされています。
サニシャ
「すごく……大きいですね」
ななせ
「…………」

えっまさかさっきのハンバーグ……
ニコレッタ
「ハ、おおかた今日の食材ってトコだろ~な」
GM
ぶら下がっている両腕の下に、樽が置かれています。
それが両手から滴る赤い液体を受けているようですね。
ななせ
「……ぅぷ」
GM
改めて描写しますが、人喰い三月の両手には目玉が生えていて、
GM
そこから絶えず赤い涙が流れ落ちています。
ニコレッタ
「今思い出したんだけどよ~。
 今日のワインの味、どっかで飲んだよな~ってさっきから思ってたんだよな。……こいつとヤりあった時だったわ」
サニシャ
「血抜き……じゃないですよね……あの時の大波ってそういうことだったんですね。何か哀しい事があったのかもしれません」
サニシャ
「私はあまり災害というものを知らずに生きてきましたし、あのような現象には驚いてしまいました。
 ななせさんはなんとか庇えましたけど、ニコさんは大丈夫だったんですか?」
ニコレッタ
「ああ?まあ……くたばる程の事でもなきゃあ、大した事ねえさ」
サニシャ
「戦闘のことといい、先ほどのことといい、随分と丈夫に見えます。
 ニコさんの住んでいた場所ではこのくらい日常風景だったのですか?」
ニコレッタ
「ああ。魔大陸もここと似たようなもんだ。荒地と砂漠ばっかりの不毛の大地。でけえ怪物もそれなりにいる。……かなりロクでもねえ所だぜ」
GM
だいぶ似てる
サニシャ
「……では、その眼も。そんな日常の中で?」
なんとなく気になっていた事を尋ねる。
自分の眼のことと少し親近感のような気持ちを抱いたからかもしれない。
ニコレッタ
「…………中々鋭いじゃねえか」

動かない左目の焦点は合わない。
ただ、右目だけで視線を送る。

「まあ、そんなトコだ。
 なんだ、オレのカワイソーな身の上話でも聞きてえのか?」
サニシャ
「可哀想かどうかは私が決める事ではありません。ニコさんの事をしりたいと思ったからです。
 ただ、この世界に来て皆さんと一緒に居て……私は何も知らない。知らなさすぎると分かったんです」
サニシャ
「どんなことがあったら、そんな風になるのか、とか」
サニシャ
「それを経て、どんな風に生きているのか、とか」
サニシャ
「教えてくれませんか?」
白兎
「この人喰い三月の遺骸は、こうしてワインをしぼり取ったあと、干し肉として加工されるんですよ~」
白兎
いつの間にか入り込んでいた白兎。
白兎
「貴重な保存食ですね!」
ななせ
「へ、へぇ~……」

なるべく人喰い三月を見ないようにしつつ。

「……あのさ。もしかしてこの世界って、どこ行っても食事ってこんな感じなの…?」
白兎
「ボクも堕落の国の全部を知ってるわけじゃないですけど……」
白兎
「亡者の肉はどちらかというとごちそうの部類ですね!」
ななせ
「…………まじかぁ」

静かに絶望しました。ちょっぴり泣きそう。
白兎
「何しろ植物もまともに育たないし、畜産も成り立たないし……」
白兎
「亡者の肉は貴重なタンパク源なんですよね~」
ななせ
「おしまいだ……どうしてこんな世界に異世界転移しなきゃいけないんだ……」
ななせ
「お母さんのカレー食べたい……」

ぶつぶつ…
白兎
「カレーかあ……ボクも一度でいいから食べてみたいなあ……」
ななせ
「食べたことないのか……可哀そう…」
白兎
「ななせさんは食べたことがあるんですよね~ いいなあ~」
白兎
「ご主人さまもカレーっていうごちそうのお話をしてくれたことがあるので、存在だけは知ってるんですよね……」
ななせ
「うちのお母さんのカレーがね…けっこう美味しいんだ。へへ…」
思い出してじわりと涙がにじむ。

「……そうなんだ。じゃあ、ありすって…僕と出身近いのかなぁ」
白兎
「言われてみれば、顔立ちが似てるような気がしますね」
白兎
「ニホンってところらしいですよ、ご主人さまの出身」
ななせ
「生意気な小学生のクソガk女の子って感じだしな……。
…………まじ? じゃあ一緒じゃん……」
白兎
「へえ~ 運命的な偶然ですねえ」
白兎
「こんな出会い方でさえなければ、故郷の思い出話に花を咲かせられたかもしれないのに……」
ななせ
「嫌な運命だなぁ……」

「せっかく同じ世界から来てるのにな……ちっとも仲良くなれる気しないもん…」
白兎
「や、やってみなければわかりませんよ!」
白兎
「二人が並んだら……なんか美人姉妹って感じですし……いけますよ!」
 謎のはげまし。
ななせ
「そうかなぁ。美人って言われるのは嬉しいけど……」

苦手なんだよなぁ…ああいうカースト上位存在……。
ニコレッタ
「興味本位かよ。……ま、安い同情より随分マシな理由だな」

「──そんな複雑な経緯じゃあねえさ。お前、"ドラゴン"って知ってるか?空飛ぶでっけえトカゲだよ」
サニシャ
「昔、本でみたことがあります。御伽噺の生き物だと思っていましたが……」
ニコレッタ
「珍しい生き物ではあるけど、オレんとこじゃ御伽噺まではいかねえ。そういうのは魔神だとかの域だからな」

「5年前、オレの住んでた村はソイツにぶっ壊されたのさ。ド派手に口から火を吐き散らす、クソトカゲに……何もかも、喰われて、潰されて、燃やされた。──オレ以外はな」
ニコレッタ
「ま、奇跡ってのは、こういう事を言うんだろうな。左半身、そこそこ焼けちまって……左目はオシャカになったが。オレは。オレだけはこうして生きてる。カミサマに感謝ってやつさ」
サニシャ
「へぇ……」
なんとも素っ頓狂な声が出た。
言葉で聞いても、単語ひとつひとつの意味同士が耳を通っていくばかり。
サニシャ
「それが災害……よほどの幸運が訪れなければ無事では済まないもの」
サニシャ
「だとしたら私もカミサマに感謝しなくてはなりませんね」
ニコレッタ
「……なんでお前が感謝するんだ?」
サニシャ
「それは──」
厨房を探していた手を止めてあなたに向きなおる。
サニシャ
「こうしてここで会えたから。
 この国の救世主に選ばれたから。
 今のニコさんをつくってくれたから」
サニシャ
「こんな言い方をしては失礼でしょうか……」
ニコレッタ
「…………」
ニコレッタ
「お前、結構思ったよりバカだな」
サニシャ
「ええっ バカってそんな」
サニシャ
「……そんなこと初めて言われました」
ニコレッタ
「言った後に、失礼でしょうかって。失礼だったらどうするつもりなんだよ。バカ」
サニシャ
「あ、あの……!そんなに繰り返さないでください!
 失礼だったら謝りますし……何でもしますから……」
ニコレッタ
「ハ。……何だかねえ」

毒気を抜かれたような気分で。
次の戸棚に手をかけつつ。

「それより、お嬢ちゃんの気分がアガりそうなもん、あったか?」
サニシャ
「生きていてくれてありがとう……ってそう言いたかっただけなんです」
しょぼん。肩を落としてもごもご……

「う~ん。これといって収穫は。調味料でもあれば少しは変わりそうですが」
サニシャ
*ニコレッタの竜災害の疵舐め判定します。愛で!
サニシャ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 7[6,1]+3 > 10 > 成功
GM
成功ですね~
[ ニコレッタ ] 疵:竜災害 : 0 → 1
ニコレッタ
「あ~、どういたしまして。……こっちも何も無えな。残念ながら、って結果に落ち着きそうか、こりゃあ……」
GM
ワインだけはいっぱいありますよ!
サニシャ
「……お口なおしに少し貰って帰りますか?」
たぷたぷのワインを指さす。
GM
根気よく探すと、石のようにかちこちなパンとかも見つかります。
GM
パンとワイン、まさに救世主の食事といえましょう。
ニコレッタ
「……持ち帰るのは流石に、バレるんじゃねえか?あのご主人サマ、キレるとヤベえぞ、超かなり。大丈夫かね……」
サニシャ
「パンはアレですけど、ワインならまだ集めている途中みたいだし大丈夫じゃないですか?」
GM
いつのまにか背景にいる白兎はボクは何も見ていませ~んという顔をしています。
サニシャ
「ふぅん。あの人もやっぱり怒るんですね」
サニシャ
白兎さんにニコッ!
白兎
(下手な口笛)
ニコレッタ
「ハ。どうやら同じ立場のよしみってやつがあるらしい」

少し離れて眉根を寄せているななせに声をかける。

「ワインとかてえパンしか無さそうだぜ、お嬢ちゃん。こんなんでも貰ってくか~?」
白兎
推奨も糾弾もできない微妙な立ち位置の人です。
ななせ
「えっ あー、う~ん……」

「じゃあ、もらっていこうかな…」
ニコレッタ
「よし、じゃあさっさと懐に収めて……」

ななせにパンをぽいっと投げつけつつ。

「怖~いご主人様にバレる前に、ズラかるか、なあサニシャ」
サニシャ
サニシャ
「ふふっ。そうしましょう。こっそり、秘密のおやつですね」
サニシャ
「ななせさんもほら、外で美味しい空気を吸ったらマシになるかもしれません」
ななせ
「わ」

パンをなんとかキャッチしてシュッと懐へ。

「うん。あんまりここに長く居たくない…」
人喰い三月の死体
…………
サニシャ
────来た時よりも少しだけこそこそと厨房を後にする。
最後にもう一度だけ亡者だったものに視線を向けて「いただきます」と心中で呟いた。
GM
……
GM
サニシャさんの手番終了で、PKの手番に移ります。
GM
みなさんがどのような思いを抱えているかは、さておきとして。
GM
この枯れ葉屋敷で過ごし始めてから、数日が経ちました。
GM
慣れないベッドに背中を痛くしたり、堕落の国独特の食文化に辟易したり、
GM
ありすに雑用を命じられ、こきつかわれたりしつつ……
GM
一応は、何事も起こらない平和な時間が流れました。
GM
PKがこの手番で何をするかというと……
GM
サニシャさんの疵を抉りたいなって思っています。
GM
ある日のこと。
GM
サニシャさんが廊下を歩いていると……
GM
突き当りの方で、ありすと、紳士帽を被ったペットが、なにか話しているのが見えます。
紳士帽
「ご主人さま。あの方が、そろそろ……」
ありす
「ええ……わかっているのよ」
GM
深刻げな表情で言葉を交わした後、ありすは屋敷の地下へと続く階段へ消えていきます。
GM
そこは、あなた達を含むペットが普段出入りすることを禁じられている場所です。
サニシャ
「……」
サニシャ
「あの人は普段何をしているのでしょうか?親切に教えてくれる訳もまぁ、ありませんが……」
サニシャ
廊下で足を止めて地下への階段をじっと見つめている。
GM
階段の前に立つと、ひんやりとした空気が流れてきます。
GM
あなたを見とがめる人は、今はいないようです。
サニシャ
──私は知らなさすぎる。
言ったのは自分自身。目隠しをされたからと、見ないままでいいのだろうか。
サニシャ
もしかすると脱出の為のヒントがみつかるかもしれない。この屋敷の表層には数日で色々と調べられた。
新たな発見をすれば、ニコさんもななせさんも喜んでくれるかもしれない。
サニシャ
そんな衝動に自然と足が動いていた。
サニシャ
冷たい空気を掻き分けながら、音の響かないように慎重に一段ずつ階段を下る。
GM
では……
GM
あなたが仲間も呼ばず、一人で階段を降りていくと。
GM
なにか、人の声らしきものが聴こえてくる。
GM
うめき声。
GM
罵り声。
GM
どちらとも判別のつかない……
GM
ありすのものでも、屋敷で見かけたペットのものでもない誰かの声。
GM
そんなものが響いてくる。
サニシャ
(声……?知らない人の声です……)

「……は、……世主…… ……のに……」

「……せ、離して…れっ……」
GM
どうやら男の声です。
GM
あなたの横で、階段の壁面にしつらえられた蝋燭の灯りが、細く揺れています。
サニシャ
(拘束でもされているのでしょうか。それにうまく聞き取れませんでしたが、救世主、と言いましたか?)
サニシャ
思わず息を呑んで耳をそばだてる。
GM
階段を降りていくと、声は少しずつ明瞭になっていきます。

「くそっ……もうそろそろ、“30日”、なんだぞ……」

「私の、頭の中から……声がするんだよ……」

「許してくれよ……なあ……離してくれよ……」

鎖が鳴る音。

「それができないなら……」

「せめて……」

「殺して、くれ……!」
サニシャ
進めていた足が止まる。
サニシャ
色々と気になる単語は多かった。
サニシャ
それでも、最後の言葉で思考が停止した。
サニシャ
「ころ、す」
思考は勝手に口から洩れる。
ありすの声
「許してなんかあげないわ」
ありすの声
少女の冷えた声が応じる。
ありすの声
「あなたはありすの大事なペットを傷つけたのだもの……」
ありすの声
「あなたのお願いを、聞いてあげるつもりもないわ」
ありすの声
「……」
ありすの声
「ねえ」
ありすの声
「そんなところじゃよく聞こえないんじゃない?」
ありすの声
「近くに来なさいよ」
GM
それは男に向けられた声ではない。
サニシャ
「……ッ」
口を塞いで息をとめる。まだだ。まだ、気取られたとは決まっていない。
サニシャ
身を縮めて、ただ、嵐が通り過ぎるのを待つように。
GM
その考えをあざ笑うように、少女の靴が石の床を叩く音が、あなたに近づいてくる。
サニシャ
逃げるべきだろうか?いや、自分の運動能力では結果が火を見るより明らかだ。
GM
考えを巡らせている間にも、靴音は近づく。
GM
息をひそめているあなたの腕が掴まれ、引っ張られる。
サニシャ
「ゃ────」
ありす
「どうしたの?」
サニシャ
抗えない。捕まってしまった。まずい。思考だけが空回りする。
ありす
「まるで恐ろしい亡者にでも、追われているみたいな顔ね」
ありす
燭台のかすかな灯りに照らされるありすの顔は、いつもどおり……だろうか?
サニシャ
「あの、迷ってしまって」
ありす
「気になるのなら、素直にそう言うといいのだわ」
サニシャ
「……」
ありす
言い訳を意に介さない様子で、奥へと引きずっていく。
GM
そこは牢獄だった。
GM
すでに開け放たれた、鉄格子の奥。
GM
衰弱した痩せぎすの男が鎖に繋がれているのが見える。
GM
暗い石室で、白目がちな男の瞳が月のように爛々と輝いている。

「なあ」

「あんた、」

「そこの、あんただ」
サニシャ
「……はい」
サニシャ
どんな感情をもてばいいのかわからない。

「私は、そこの救世主……ありすに、“裁判”で、敗北して、このざまだ」

「助けろ、とは、言わない」

「もう……“助からない”。それが、わかってしまったんだ」

「だから……」

鎖を鳴らす。

視線だけで訴える。

男が視線を巡らせた先。

壁の隅に、鞘に収まった剣が立てかけられている。

「私を、殺してくれないか……」

ありすは、男の言葉を遮ることはしない。

ただ冷たく、睥睨している。

それはあなたには、とても理解できない言葉かもしれない。

男は狂っているのかもしれない。
サニシャ
「困ります。急に、そんなこと頼まれても」
サニシャ
「私は救世主なんですよ……どうして、見ず知らずにあなたを突然殺さないとならないのですか……?」

「ああ、そうだ」

「あんたは、“救世主”だ」

「一目見ればわかる。堕落の国でくたびれきった“末裔”とは、雰囲気が違う」

「でも、“救世主”なら、わかるだろう?」

「私と同じ、“救世主”なら」
サニシャ
「あなたも、同じ」
サニシャ
堕落の国の救世主。

「ああ、そうだ」

「ありすも、私も、あんたも」

「同じ救世主」

そこまで言ったところで、

ありすの鞭がしなり、男を打ち据えた。
ありす
「ニセモノよ」
ありす
「こいつは救世主をかたる、ニセモノ」
ありす
「ありすだけが、この世界を救う本当の救世主なのよ」
サニシャ
違う。私からしてみれば、彼も、ありすも、違う。
こんなものは救世主なんかじゃない。
サニシャ
「どうしてそう言い切れるんですか?」
サニシャ
「これのどこが救いなんですか」
ありす
「ニセモノに与えられる救いは、ないわ」
ありす
「それが救世主をかたった罪なのよ……」

くぐもった笑い。

「まあ……」

「ニセモノでも、なんでもいい」

「姉さん。私に与えられる救いがあるとすれば……」

「それは人間のまま、死ぬということなんだよ」
サニシャ
「それがあなたにとっての救いなのですか」
ありす
「救ってあげたら?」
ありす
せせら笑う。
サニシャ
救世主と言う言葉を聞いてから、全身を震わせていた筈の圧力がどこかへ行っていた。
サニシャ
救世主ならば、救わねばならない。
ありす
壁の隅にある剣を、わざわざ持ち上げて、あなたの元へと運ぶ。
サニシャ
救世主ならば、見過ごしてはならない。
ありす
扱い慣れては居ないかもしれないが、鎖に繋がれて動けない人間の、命を断つには十分だ。
GM
しかし、それは、本当にあなたの知る“救世主”の行いなのだろうか?
サニシャ
手を、伸ばした。
サニシャ
だって、知らないんだから。
GM
重たい鉄の感触。
サニシャ
救世主?救い?
サニシャ
この冷たい命を絶つ道具の感触の方が、よほど確かに存在を感じられる。
サニシャ
ただ、居るだけ。生きるだけが救世主としか教わっていなかった。
サニシャ
素直にしていればそれでよかった。
サニシャ
じゃあ、彼が救いと言うのならば。それを私に望むのならば。
サニシャ
私が為すべきことは、もう決まっているんじゃなかろうか。
サニシャ
今一度つよく握りしめる。
GM
疑問を挟まないまま、それを行ってしまえば。
GM
曖昧模糊としていた、あなたの“救世主妄想”には、確固とした一つの答えが与えられる。
GM
それは、後戻りの利かない道。
GM
狂人への片道切符だ。
GM
*愛でサニシャの「救世主妄想」を抉ります。
ななせ
*横槍します!
GM
HP1の支払いをお願いします
[ ななせ ] HP : 15 → 14
GM
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
GM
猟奇で判定をどうぞ。
ななせ
猟奇か~ ティーセット使うぞ
GM
どうぞどうぞ
[ ななせ ] ティーセット : 1 → 0
ななせ
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 10[5,5]+2 > 12 > 成功
GM
いいですね 成功です
ななせ
ヤッタ!
GM
効果量を1d6で決定してください
ななせ
1d6 (1D6) > 3
GM
-3
GM
ヤリイカはお使いになりますか?
ななせ
ヤリイカも使おう
GM
では、-5ですね
[ ななせ ] ヤリイカ : 1 → 0
GM
*ティーセットを使用
[ ありす ] ティーセット : 2 → 1
ありす
2d6+3-5+2>=7 愛 (2D6+3-5+2>=7) > 7[1,6]+3-5+2 > 7 > 成功
GM
出ちゃった

男は硬い表情で、沙汰を待っている。
サニシャ
一歩また一歩と、男に近づく。
サニシャ
──『頼りにしてるからね、救世主さま』──
サニシャ
誰かの言葉が一瞬脳裏をかすめた気がした。
サニシャ
それでも。
サニシャ
振り上げた腕はもう止まらない。
サニシャ
「私が──救世主があなたを救いましょう」

返事はない。
サニシャ
今、私はどんな顔をしているのだろうか。
サニシャ
わからない。
サニシャ
知らない。
サニシャ
知らない方が、よかったかもしれない。
サニシャ
返事はない。
ならば、と。
そのまま、一息に首をめがけて振り下ろした。
サニシャ
あぁ……これが救い。

筋肉を引き裂く手応え。
サニシャ
事が終わっても茫然としたまま突っ立っている……

血管を切り裂き、骨まで達し。

血が吹き出して、あたりを汚した。
GM
鎖に繋がれた男の身体が、虫を思わせる動きでわなないて、それもすぐに止まる。
GM
意思の失われた肉体が、鎖にぶら下がるのみとなる。
ありす
後方で見守っていたありすの顔にも、返り血が飛ぶ。それを拭う。
ありす
「ご感想は?」
ありす
眉一つも動かさずに。
サニシャ
「思った程達成感はありませんね……」
ありす
「あら、そうなんだ」
ありす
「せっかく、救ってあげられたんだから、喜んであげたっていいんじゃない?」
サニシャ
「そうでしょうか……」
サニシャ
「では……ありがとうございました」
サニシャ
物言わぬ肉塊へ声をかける。
サニシャ
「私にあなたを救わせてくれて」
ありす
醒めた表情でそれを見ている。
ありす
そんなに面白い見世物でもなかったな、とでも言いたげに。
ありす
「よかったわね、救世主サマ」
ありす
こつこつと靴音を鳴らして、地下牢を歩き去っていく。
ありす
あなたと、“救世主”の死体が残される。
サニシャ
残された地下牢で布当てを外し、返り血を簡単に拭う。
サニシャ
「……戻らないと。私は救世主としてまだやるべきことがたくさんあります」
サニシャ
そうしていつもの装いに。
「ななせさんやニコさんに教えてあげれば喜ぶでしょうか」
サニシャ
もう振り返らない。
GM
独り言が石室の中に反響する。
GM
あなたを救い、導くものはここにはいない。
GM
か細い蝋燭の灯りしかなくとも、暗闇の中、それを目指さなければならない。
GM
たとえその先に、奈落の底が口を開いて待ち受けているのだとしても。
GM
……
GM
お茶会、最後に残ったニコレッタさんの手番からです。
ニコレッタ
シーン表ふりま~す
ニコレッタ
1d12 (1D12) > 5
GM
倉庫。
ニコレッタ
じゃあ倉庫を漁っているところに、ななせくんちゃんが来てもらう感じでお願いできますか
ななせ
は~い
ニコレッタ
* 倉庫にて *

「……んー、コレもダメそうだな」

倉庫の古い農具や家具、放置されていると言って差し支えないそれらを、ニコレッタはがさごそと漁り回っている。何かを手にとっては、ぽいと放り投げて、次へ。
ななせ
「…………あ、ニコさん。
……何してるの?」

掃除用具を片手に(雑用をしていたとされる)倉庫に入ってきたななせが、不思議そうにあなたの様子を伺います。
ニコレッタ
「──!」

倉庫に入って来た気配に、勢い良くそちらを振り向き……
ニコレッタ
「……なんだ、お嬢ちゃんかよ。
 脅かすなよな~。
 オレは見ての通り、倉庫漁りさ」

手に持っていたガラクタをぽいとそちらの足元へ投げてみせる。アヒルちゃんだ。
ななせ
「ご、ごめん。
なるほど……それで、なんかいいもの見つかった?」

足元に転がってきたアヒルを手に取って。
ぎゅっぎゅとお腹のあたりを押し込んで間抜けな音を出したりしつつ。
ニコレッタ
「これといってねえな。ボロい農具やら家具やらばっかりだ。ま、布はちょっとはあったから、こいつは頂くとして……」

何に使うのか、何枚かの布を懐に仕舞い込んでいる。

「そういや、お嬢ちゃんに聴きそびれてた事があったんだよな、今ちょっといいか?」
ななせ
「そっか。まあ、そりゃそうだよね」

仕舞われる布を目で追いながら、何に使うんだろうなんてぼんやり。

「……えっ、ぼくに?
まあいいけど、何……?」
ニコレッタ
「兎から聞いたんだけどよ。
『ニホンジン』なんだろ、お嬢ちゃん。

 だったら、すげ~"力"を何か持ってるハズだ。
 そいつであのご主人サマを何とかできねえのか?」

それがさも当然であると言うように、なあ?と軽く肩を叩く。ポン。
ななせ
「……は?」

肩ポンではない。

「いやいや、ないよ、そんなの。
確かにぼくはご主人様…ありすと同じ日本人だけどさ……。そもそも日本人にそんな特別な力はないんだって。あいつが異常なの」
ニコレッタ
「……えっ ご主人サマもニホンジンなの?
 それは……そうかぁ……それでェ……?」

ええ~~?と思案顔に一瞬なりつつも。
続く言葉に、いやいやと否定を示した。

「そんな事はねえだろ。
 ニホンジンは、全員例外なく英雄級の力を持ってるって話のハズだろ。イセカ……何だっけか。すげえ術が使えるって話のハズだ」
ななせ
「あっ知らなかったんだ……」

「えぇ~…何それ、どこ情報だよ……。
そんなの小説とかアニメとか…えーと、空想の話くらいでしか聞かないよ……」

まあ、その空想の話みたいな経緯でここにいるんですけど……。

「とにかく僕に特別な力なんてないから」
ニコレッタ
「……ど~も嘘じゃなさそうだな、そのカンジ。ホントにそうなのか?……ニホン違いとか、そーゆー事か……?」

納得は行かないものの、とりあえずは「わかった」と首肯して。ななせに特別な力は備わっていないという事は理解を得られたようだ。

「何かいい感じの力なら、と思ったんだけどな。まあ、ハナからそこまでデカい期待はしてねえけどよ~

 ……お嬢ちゃん、カワイイ事しか取り柄ねえのか?もしかして」
ななせ
「別の日本があるかどうかまではさすがにわかんないけど……」

とりあえずは理解してもらえたようで、一息。

「何かいい感じの力があれば、こんなとこにずっといるわけないじゃん……。

……ぅ……そうだよ。
悪い?別に、何も無いよりマシでしょ」

少しだけばつが悪そうに視線を逸らす。
ニコレッタ
「あー……」

*ななせの 底なしの愛され願望 に対して心の疵を舐める を行います。判定は猟奇で
GM
横槍はないので、判定をどうぞ
ニコレッタ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 11[5,6]+3 > 14 > 成功
GM
成功ですね
ニコレッタ
「……いいや、悪くねえさ。
 オレはこんなんだし、あいつは何か……ちょっと前からたまに変な感じに重い時あるしなあ」

逸らされた視線を、ぐいっと顎を持って無理やりこちらに向けた。
ニコレッタ
「目の保養になるってのは、い~事だ。
 あのクソガキご主人サマにもこれだきゃ出来ねえからなあ!」

真っすぐに目を見据えた後、けらけらと笑って見せた。
ななせ
「なっ……」

無理やり合わせられれた視線。
視界を遮るように伸ばした前髪の隙間から、ニコレッタの顔がはっきりと見えて。

「…………ま、まあ…ね。
なんだ……わかってるじゃん……」
ニコレッタ
「その調子で引き続き頼むぜ、お嬢ちゃん」

顎から手を離して、長いもみあげを軽く手で梳いて。
それから、倉庫の出口へと一歩。

「オレはそろそろ部屋に戻るぜ
 メシにゃ早いが、ちっとやる事もあるからさ」
ななせ
「う、うん……じゃあ、また」

立ち去るあなたを、若干固まったままかろうじて見送って。
ななせ
「……………え、えへへ」

熱くなった頬を両手で抑える。
SNSで不特定多数の誰かにいいねをされるのとはまた違う胸の高鳴り。
これってもしかして…?
なんて、しばしその場でぼうっとしていることだろう。
[ ななせ ] 疵:底なしの愛され願望 : 0 → 1
GM
---
白兎
「アヒルと言えばご主人さまの出身の世界では、お風呂にアヒルのおもちゃを浮かべていたそうですね」
白兎
「しかし、この堕落の国ではお湯に浸かるような贅沢はなかなかできません。“涙の都”ならいざしらず……」
白兎
「とは言え身体は洗わないと不潔だし、病気の原因に……」
白兎
「そこでこのお屋敷では蒸し風呂方式を採用しています」
白兎
「これなら使う水も少なくて済むというわけなんですね」
白兎
「以上、TIPSのコーナーでした~」
白兎
(虚空に語りかけている……)
GM
では、PKの手番に入ります。
GM
脱がそうかな。
GM
ななせさんを。
GM
というわけで登場お願いします。
GM
ななせさんが厨房の前の廊下を歩いているとですね。
GM
「お、ちょうどいいところにいた」と言わんばかりの顔のありすに呼び止められます。
ありす
「今ヒマ? ヒマに決まってるよね」
ありす
選択肢がはいとイエスしか無いような圧を出しています。
ななせ
「アッ……ハイ……」
ありす
「ちょっと! 声が小さ~い」
ありす
「ご主人さまに声をかけられたんだから、もうちょっとうれしそうにできないの?」
ありす
腹から声を出せ~!
ななせ
「ご、めんなさ…。
な、なんでしょうか…!」
ありす
「まあいいや。ちょっと手伝ってほしいのよね~」
ありす
と、厨房の中まで引っ張っていきます。
ななせ
黙って引っ張られていきます。
GM
そこには例の人喰い三月の死体が前衛オブジェめいて吊るされています。
ありす
「残りも解体しとこうと思ってね。いつまでも吊るしておくわけにもいかないでしょう?」
ありす
「と、いうわけで」
ありす
「まずは下ろすのを手伝ってくれる?」
ななせ
(イヤダ~~~~~~~~)
ななせ
「はい、喜んで」
ありす
「うん! いい返事だわ」
GM
というわけで、踏み台を持ってきて、二人して吊るされている死体を下ろそうとするわけです。
ありす
「それじゃ、吊るしてるロープを緩めるから。ちゃんと支えてね~」
GM
下ろそうとするわけなんですけども……
GM
ありすには救世主としての力があり、ななせさんにはありません。
GM
そんな二人が、重たいものを二人で支えようとするとどうなるかというと……
GM
自然とななせさんの方に傾いてしまうんですね。
GM
端的に言うと、潰されそうになります。
ななせ
「はい……って、重……っ
ちょ、待…これ……やば……」

えっ、死ぬ?ってなります。
GM
グラ……
ありす
「あっ」
GM
ズズ~~ン。
GM
あなたは下敷きになった上に……
GM
その拍子に人喰い三月から漏れ出た赤いワイン汁がドバ~~っと全身にかかります。
GM
死にはしませんが苦しいし動けないし濡れてるし最悪です。
ななせ
「……ぐぇ……う……ぅ…………たすけ……」

最悪の中から助けを求めて見ます。
ありす
「あっちゃ~~」
ありす
「もったいない……(ワインが)」
ありす
どっこいしょ……と人喰い三月を持ち上げて転がします。
ありす
(回転するスプライト)
ありす
「大丈夫~? 生きてる?」
ななせ
「だ……大丈夫……です……」
GM
助かりはしましたが服がぐしょぐしょですね。
ありす
「にしてもこれは着替えなきゃだめね~」
ななせ
(う~ん最悪……気持ち悪い……)
ありす
「ほら。着替え用意してあげるから脱ぎなさい」
ななせ
「……え、と。
今、ここで、ですか?」
ありす
「そのまま洗い場まで行くの? ワインをぽたぽた垂らして?」
ななせ
「た、確かに……。
で、でも……その、ご主人様のお手を煩わせるわけには……」
ありす
「ペットの身だしなみを整えるのも、ご主人さまの役目だもの」
ありす
と言って、あなたの服に手をかけて、強引に脱がしていく。
ななせ
「あっ……ちょ、あの……ッ」

抵抗しますが、たぶん無駄でしょう。
ありす
「ほら、大人しくしなさい!」
ありす
スカートを、トップスを剥いでいく。
ななせ
「や……、……やめ……」
ありす
見かけ上は年少の小さな女の子でも、救世主の膂力には逆らうべくもない。
ありす
濡れた衣が剥がされ、あなたの肌があらわになっていく。
ななせ
(嫌だ…………)
ありす
「ほら……」
ななせ
(見るな…………)
ありす
「下着まで、べっちょりじゃない。気持ち悪いでしょ?」
ありす
言って、ん? と違和感に気づく。
ありす
「あれ……?」
ありす
「あなた、なにか変じゃない?」
ななせ
動悸がする。
ななせ
息がうまく出来ない。
ななせ
「……っ、……ぇ、と」
ありす
「服着てると、わからなかったけど」
ありす
濡れた下着を指先でなぞる。
ありす
「身体つきも、下着も……」
ありす
「ちょっと、違う気がする」
ありす
「ねえ……」
ありす
ありす自身も気づかないうちに、唇の端が釣り上がる。
ありす
「どうして?」
ななせ
「……ち、違う」

「僕は……ただ、だって……」
ありす
「どうして……」
ありす
「どうして、女の子のフリなんて、してたの?」
ありす
嗜虐的な笑いを咲かせていた。
ななせ
「は、…ぁ……だって……」

可愛い恰好をしていないと。
女の子のフリをしていないと。
僕は、そうじゃないと、誰からも愛されないから。
ななせ
こんなのは違う。
ななせ
こんな格好でいてはいけない。
ありす
「今のあなたの格好、鏡で見せてあげたいわ!」
ありす
ありすの指先が、太腿から腹、腹から胸へ、その輪郭を辿る。
ありす
女のものではないその体の輪郭を。
ななせ
視界に入る自分の体のライン。
ありすの指先がなぞるそれが、鏡を見るまでもなく、己の本当の姿を映し出している。
ありす
「これが本当のあなたの姿!」
ありす
「みすぼらしいのね。恥ずかしいのね」
ありす
「自分と違う誰かにならないと」
ありす
「誰にも気づいてもらえなかったのね」
ありす
「誰にも、愛してもらえなかったのね」
ななせ
「うっ……うぅぅ…………」

瞳から、ただぼたぼたと涙を零している。
ありす
身体を指でなぞりながら、陶然と微笑む。
ありす
「き・も・ち・わ・る・う・い……」
ありす
「あなたって本当に……」
ありす
「気持ち悪い子……!」
ありす
*愛で「底なしの愛され願望」を抉ります。
ニコレッタ
横から槍を入れま~す
[ ニコレッタ ] HP : 18 → 17
GM
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
GM
愛が試されますね
ニコレッタ
2d6>=7 (2D6>=7) > 5[3,2] > 5 > 失敗
[ ニコレッタ ] ティーセット : 1 → 0
GM
ティーセットを使って成功ということになりました
GM
(本当は先に使うアイテムです)
ニコレッタ
1d6 (1D6) > 5
GM
くっ
GM
ヤリイカはないですね
ニコレッタ
ありませぬ
GM
OK
ありす
*ティーセットを使用
[ ありす ] ティーセット : 1 → 0
ありす
2d6+3-5+2>=7 愛 (2D6+3-5+2>=7) > 6[2,4]+3-5+2 > 6 > 失敗
ありす
ぐあああ
GM
失敗です。存分に横槍のロールプレイをしてください
ニコレッタ
「──よお!ご主人サマにお嬢ちゃん。
 なァんだ、でけえ音がしたと思ったら。
 ひっくり返しちまったのかあ!?」

わざとらしく、大仰に、声高らかに。
ニコレッタが厨房へと踏み入ってきた。
そして、"何故か"手に持っている大きな布切れを、よいせ!とななせに巻き付ける。

「あーあー、床もぐっちゃぐちゃじゃねえか」
ありす
「…………あら」
ありす
ななせに触れていた手を離す。
ありす
「ちょうど着替えを持ってこさせようとしたところだったのよ。気の利くペットね!」
ななせ
「……ぁ……ニコ、さ……」

怯えた目がふらふらとニコレッタへ向く。
ニコレッタ
「あ~、そうだろそうだろ。
 オレはご主人サマの忠実なペットだからな~。ついでに仕事もデキるのさあ」

ぽんぽん、とななせの背を軽く叩く。
大丈夫、心配するな。と。
ありす
「じゃ、あとのことは任せようかしらね」
ななせ
巻きつけられた布を抱きかかえるようにぎゅっと寄せて。
少しだけ安堵の息をはいた。
ありす
人喰い三月の解体は、またあとでもいいしねと。
GM
ありすはさしたる未練もなさそうに、あっさりと厨房を去っていく。
ニコレッタ
「おう、床も後でテキト~にキレイにしとくからよ~」
ニコレッタ
「……行ったか。行ったな?
 ったく、困ったご主人サマだ。
 大丈夫か?お嬢ちゃん。ど~せイビられてたんだろ、オレも前やられたぜ」
ななせ
「ぅ……、ん。
だ、だいじょぶ……」

嗚咽を漏らしながらも、呼吸は整ってきている。

「…………ニコさんも?」
ニコレッタ
「あァ。……いィ~感じになあ。
 鞭でしばかれて、踏んづけられて。
 首締められて、息も止まってな。
 死ぬかと思ったぜ、あんときは。
 ……く く く……」

言葉の割には、随分と愉しそうに。
歪に、嗤って。
ニコレッタ
「ま、オレだから平気だけどな。
ニコレッタ
「お嬢ちゃんがアレくらったら……
 まあ死ぬだろ?」
ななせ
「……なんで、笑ってんの。変なの」

話を聞けば、単純な暴力を振るわれていた方がまだマシだった気も…いややっぱどっちにしろ嫌だな……。

「……まあ、うん。
……ありがと。たすけて、くれて」
ニコレッタ
「おう。ま、災難だったな。
 とりあえず洗い場まで行くか~」

その辺に落ちているななせの衣類をざつにかき集めて。
ワイン集め用だろうか、今は空の桶にぽいと放り込んで、片手に担ぐ。

「あ~……でもアレだな。
 お嬢ちゃん、歩けるか?
 なんかやられてたっぽいし……」
ななせ
「うん……大丈夫。
別に、何も……されてないから」

見た目上は、どこも傷ついてなんかいない。

「でも、その……あんまり見ないでね」

布を握る手が、きゅっと強張った。
ニコレッタ
「見ねえ~よ。
 おし、そんじゃさっさと行こうぜ。
 気が変わったとかでこわ~い人が戻ってこねえうちにな」

ぽん、とななせの背中を叩いて。
先導するように桶を持って前を歩こうと、進んで──一度だけ振り返った。
ニコレッタ
「あと、笑え!こ~いう時こそな。
 ヤな事あったからってしかめっ面してるんじゃ~カワイイ顔が台無しだぜ」
ななせ
「……うん」

いつも通りのあなたの姿に、緊張していた体が和らいでいった。

振り返って笑うあなたにつられるように、口の端をあげて。

「ん。僕は…かわいいのが取り柄だからね。ふふ」
GM
---
GM
夜。
GM
あなたたち三人は、最初に割り当てられた部屋に集まって寝ているか、あるいはこれから寝ようかなみたいな感じになっています。
GM
情報共有しておくべきことがあったら、しておくのもいいかもしれませんね。
GM
色々ありましたし。
ニコレッタ
「なぁ~、二人ともちょっといいか?」
ななせ
「うん…?」
サニシャ
「どうかしましたか?」
ニコレッタ
「あのクソ……ご主人サマにヤられた時にな~。
 いや、半分くらい息止まってて死にかけてたからうろ覚えなんだけどよ」

確かこうだった、いやこうだったかな。と思い出しながら、ニコレッタは一つの事を語る。
それは救世主における"30日"のルール。
ありすが語ったもの。そして、自分達にもあるいは適用されるかもしれないもの。
ニコレッタ
「……とまあ、確かそんな事を言ってたハズなんだよな。最近思い出した。
二人は何か、聞いてないか?」
サニシャ
「その話なら私もお聞きしました。
 あと数日でルールに抵触する状態の救世主の方にお会いして……」
サニシャ
サニシャも情報を共有する。
屋敷の地下でのこと。鎖で繋がれた救世主のこと。
それはありすに逆らった者の末路だった。
ななせ
「えっ……なにそれ知らない……」

ふたりからはじめて聞く話に、自分も何か聞いてないか思い出そうとする……。

何か……何か…
……何もないな。

「僕からは特にないです……」
GM
かわいそう……
ニコレッタ
「地下にも"救世主"が捕まってたってのか?
 ……てっきり、30日の周期でオレらを生贄にでもするつもりかと思ってたんだが……」

しかし、サニシャの話を聞く限り。それならペットではなく同じように繋いでおけばいいとも思う。少し謎が深まった。
サニシャ
「彼女は本当に"何もしなければ"危害は加えないのでしょう」
サニシャ
「問題は何かしなければ、私達も遠くない日に屋敷の食卓に並ぶことです」
ニコレッタ
(オレ、態度が悪いっつって殺されかけたんだけどナ~……)
ニコレッタ
「……倉庫やらもあさって、武器になるもんがねえか見てたけど、ロクなもんがねえ。行動するにしても、アレに真っ向から勝てる気はしねえ。……どうしたもんかな」
サニシャ
?がお似合いなまたしても何も知らされていない幼女
ななせ
「あいつ力めちゃくちゃ強いからな……」
GM
まあほら……殺されかけただけで死んでないし、擦り傷ですよ
サニシャ
「……あの不思議な力が取り戻せれば話は違ってくるのですが」
ニコレッタ
「おまけに足も速えし、荒地も軽くすっ飛んでくる。逃げるのも現実的じゃねえな」
GM
じゃあそんなところで、会議が行き詰まっているところに。
GM
ノックの音が転がってきます。
GM
ちなみにありすはノックとかしません。ご主人さまなので。
ニコレッタ
(……誰だ?おい、サニシャ)

親指でドアを指差すジェスチャー。
サニシャ
特に疑問を持たずにドアの方へ。
サニシャ
「何か御用ですか?」
GM
「ぼ、ボクですよ~ 入れてください……」
GM
聞き覚えのある声ですね。白兎です。
ニコレッタ
「なんだウサギかよ……」
サニシャ
「白兎さん!いつもお世話になっています。さ、どうぞ」
白兎
腰をかがめて姿勢を小さくして入ってきます。
白兎
キョロキョロと、誰かに見られていないかと警戒した様子で。
白兎
「なんだとはなんですか~」
白兎
扉が閉じれば、ほっと一息。
ニコレッタ
「笑顔でヨウコソって迎え入れて欲しかったのかァ~?」
白兎
「え、怖い……」
サニシャ
気にしている様子だったのでドアの前に立ってニコとのやりとりを見て微笑んでいる。
白兎
想像したらしい。
ニコレッタ
ニコォ…
白兎
「コホン……」
白兎
「そんな話してる場合じゃないんですよ」
白兎
ごそごそ、と懐をまさぐる。
白兎
「……みなさんに、渡さなきゃいけないものがあるんです」
白兎
と言って、あなた達に向けて差し出されたものは。
白兎
これまた見覚えのある、3つの封筒だった。
白兎
そう。
白兎
最初にこの世界に招かれるときに手にした、六ペンスコイン入の封筒だ。
サニシャ
「まぁ。これをどこで?」
ニコレッタ
「そりゃ確か……ご主人サマに持っていかれてたヤツじゃねえか」
ななせ
「……あ。これ…………」

完全に存在を忘れていた。
白兎
「まあ、その、ボク……こう言っちゃなんですけど、ご主人さまには信頼されてますから」
白兎
差し出された封筒を──六ペンスコインを受け取るなら。
白兎
人喰い三月と相対していた時のあの力。
白兎
幼い子供じみた万能感のようなものが。
白兎
自分の中に再び湧き上がってくる。
白兎
そんな気がする。
白兎
「その封筒、いえ、六ペンスコインは……」
白兎
神妙な顔つき。
白兎
「あなたたち、“救世主”の力の源です」
ニコレッタ
「……」
白兎
白兎は、かいつまんでですが、堕落の国についてを語ります。ありすがあえて伝えなかったことも。
白兎
具体的に言うと、WORLD>基礎知識相当の情報がここで得られます。
サニシャ
「……つまり、白兎さんではそのコインを持っていても使えないのですか?」
サニシャ
3人分もあれば、それなりの力が得られるのではと思った。
白兎
「ええ」
白兎
「ボクはただの不思議の国の“末裔”にすぎませんから」
白兎
「でも、あなたたちは違う」
白兎
「堕落の国の外から招かれた救世主は……」
白兎
「この世界を、変えることができる力を持っている」
サニシャ
「わかりました。そういう話だそうですけど……おふたりはどうしますか?」
サニシャ
サニシャはまだ動かない。
ニコレッタ
「決まってんじゃねえか」

サニシャの方を指差して、そう言いながら。
封筒を懐に仕舞い込む。
ななせ
「……やってもやらなくても僕達に未来はないわけでしょ。やるしかなくない?」

ありすの力を見れば、きっと自分たちよりもたくさんのコインを持っているのだろうけれど。
3人でワンチャン狙うしか…ない!
白兎
「あなた達は……」
白兎
「こんなところでペットとして甘んじるべき存在では、ありません」
白兎
「ここから逃げるのも……」
白兎
俯く。
白兎
「ご主人さまと、戦うのも……」
白兎
「あなたたちの自由です」
サニシャ
「救世主、ですからね」
サニシャ
同じように封筒を手に取る。
ニコレッタ
「逃げる?冗談だろ。笑えるぜ。
 あのクソガキをブッ潰してェ……
 "理解らせて"やるに決まってる。

 そうとも、"救世主"ってんならなァ」
ニコレッタ
「ガキのしつけも。
 救いのうちだろ。ククク……」
サニシャ
「ええ。救いならば私は成し遂げましょう」
ななせ
「せっかくのチャンスだもん。
やられた分くらいはやりかえさなきゃね……」
サニシャ
救った彼の分まで役目を全うしなくては。
今後振るうかもわからない鉄の感覚は、一生掌に染みて落ちないだろうし。
白兎
「そう……ですか」
白兎
それでは、ボクはこれで。
白兎
そう言い残して背を向けると、足早に部屋から去っていく。
サニシャ
「ありすさんと戦えば──白兎さんたちも救われるのでしょうか?」
サニシャ
白兎が部屋から居なくなった後に、ぽつり。
ニコレッタ
「……どうだかな。
 ウサギのヤツは……」
ニコレッタ
「……ま、考えるだけムダだぜ、そこは。
 明日が決行だ。備えて寝ようや」
サニシャ
「それもそうですね。すいません……他の事は後で考える事にします
 また明日」
ななせ
「……」

白兎たちのことを一瞬考えて、やめる。

「うん。寝よう寝よう」
GM
はい。
GM
ではひとまず、何事も無く夜は更けていくでしょう。
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