GM
エピローグに入ります。
GM
ありすは昏倒し、あなた達は勝利しました。
GM
しかしこれからのことを決める必要があります。
GM
まず、ありすをどうするか、です。
GM
ペットたちはあなたたちの決定を覆す力を持ちません。
GM
ありすにとどめを刺したり、コインを奪ったりすることも可能です。
GM
もちろん、そうしないことも。
GM
裁判直後の状況としては、
GM
ペットたちは遠巻きに囲んだまま、あなた達に近づく気配はありません。
GM
ありすのことを助けてやろうという殊勝なものがいないのか、
GM
あるいはあなた達が恐ろしいのか。
GM
さて、どうしますか?
サニシャ
「本当に終わった、のでしょうか」

ありすが倒れても肩に力が入ったまま辺りを見回している。
ななせ
肩で息をしながら、呆然と立ち尽くしている。
ニコレッタ
「もう動かねえんだぜ?あ~、どう見ても勝ちだよ勝ちィ!
 随分キモチ良さそうにイき腐れやがってよ~」

床に転がるありすの横へと立ち、靴底で頭を踏みつけた。
ありす
動きませんが息はあるようです。
GM
ありすを踏みつける様子に、周囲からは悲鳴と歓声がおよそ半々の割合で飛びます。
ニコレッタ
「──さあて、"誰だったか"が言ってたな。
 サニシャ、お嬢。なあ。

 こいつを『どうする』?救世主らしくさあ」

ぐりぐりと。靴底を擦る。
サニシャ
「ななせさん、大丈夫──」

ニコレッタの動きに一旦警戒を解いてたちつくしているななせの方に駆け寄ろうとして。
ペットたち
「もうやめて……ご主人さまを離して!」

    「いいぞ!そのガキを殺してくれえ!」
ななせ
「……しんで、ない、の?
あんなに、強く、叩いたのに。
まだ、だって…手に…」

ふるふると震えている。
サニシャ
「……そうですね。まずはそちらが先です」
「こんなことを言うのは酷かもしれませんが、ななせさん。もう少しだけ救世主として、頑張れますか?」

震える手に、自らの手を添えて優しく問う。
ななせ
「…………うん」

こくりと小さく頷く。
震えは収まっていないが、サニシャの手の感触で少しだけ落ち着きを取り戻した。
ペットたち
「お願い……!」
 「助けて……!」
  「殺せ……!」
ペットたち
無力なペットたち──末裔たちの輪唱がこだまする。
GM
末裔。
GM
堕落の国に生まれながら、問題解決能力を持たない無力な民。
GM
天宮ありすの生死に、何も関わることは出来ない。
GM
そこにあるのが愛だとしても、憎しみだとしても。
GM
あなた達とは、全く異なる生き物なのだ。
サニシャ
頷いたのを見届けてこちらも頷きひとつ。
ニコレッタ
「野次馬がうるせえが……ま、実際のとこ。
 今決めるのは、先ずはその二つに一つだ。

 サニシャ、お前はどう考えてる?」
サニシャ
「私は彼女に対して恨みも憎しみもありません。けれど、救世主として対峙し裁判を終えた今、為すべきことを為す以外に道は無いと考えます」
サニシャ
「つまり──このまま何もせずには終われません」
サニシャ
これも、救世主の全うすべき使命だから。
ニコレッタ
「"殺す"に一票。だな?
 ……お嬢はどうだ?少し落ち着いたんなら。
 しんどいとこ悪ぃけど、答えてくれ」
ななせ
「…………僕は。
……なにも、殺さなくてもって、思う部分も、ある……けど。
でも、それは……僕が元居た世界での…価値観、だから」
ななせ
「……殺すよ。
だって、そのつもりで…挑んだんだもん」
ニコレッタ
「──い~い顔だぜ、お嬢。
 ま、オレは言うまでもねえ」

踏みつける足が、態度が。その意見を雄弁に語っている。
ニコレッタ
「せっかくだし、トドメはオレにくれって言いてえとこだが。まあ平等に誰がヤるか決めるか」

具体的にはGMによるchoiceで。
GM
GMは皆さんの決断の責任を負わされるのは嫌なので、乱数で決めるにしても皆さんで決めてください!
ニコレッタ
choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ニコレッタ
「──チ、外れちまったか」

厳正なダイスの結果。
出目は、サニシャを示した。
ニコレッタは足を退けて、ななせの隣に立ち並ぶ。
サニシャ
「私ですか」

選ばれた。選ばれてしまった。
これもまた、救世主に求められた救いを求める声なき声なのだろうか。

暗く、狭い地下室に響いていた男の声を思い出す。
サニシャ
「ええ。承りました。救いを齎すのはこれが初めてではありませんから任せてください」

ニコレッタと入れ替わりにななせから身を離す。
足を向けた先にはぐったりとうごかなくなったアリスが居る。
こうして黙って眠っている姿は、御伽噺のお姫様のようにも見えた。
サニシャ
残念ながらその傍に寄り添うのは白馬の王子様なんかではない。
サニシャ
ただの救世主だ。
サニシャ
「──白兎さん、重ね重ねすいません。
 そこの壁に飾ってある剣を持ってきていただけませんか?」
GM
白兎は応えませんが、別のペットがおずおずと鞘に収まったままの剣を持ってきます。
サニシャ
「……あなたが私達に望んだ結末はこんな形では無かったのかもしれません。
 もしそうだったとしたら、ごめんなさい」

こんな言葉で償いにはならないだろうけれど、言わずにはいられなかった。
サニシャ
差し出された剣を、礼を告げて受け取る。
鞘から抜き、両手で構えると覚えのある重量感がのしかかる。
ここにいるペットの中にはこれが、ただの殺人者にしか見えない者も少なくないのだろう、と頭の片隅で思った。
サニシャ
「すぅ……」

深呼吸。
以前と違うのは彼女自身から求められた救いではないこと。
心臓が早鐘を打つ。落ち着かせるために何度も、何度も呼吸を繰り返す。
サニシャ
「ありがとうございました」
サニシャ
「おやすみなさい」
サニシャ

「本物の救世主──ありす」
サニシャ
────事が終わるまでにそう時間はかからなかっただろう。
サニシャ
末裔達はどうなっただろうか?
GM
天宮ありすは〈死亡〉。
GM
彼女が再びカレーを食べることはなかった。
GM
末裔たちは逃げ出すもの、あなた達に感謝を述べるもの、反応はさまざまだ。
GM
何にせよ、もう彼らを束縛する存在も、護る存在もいない。
GM
天宮ありすだったものからは、六ペンスコインを奪うことができる。
サニシャ
「これが彼女の……」

今回は上手くやったのか、返り血は殆ど目立たない。
振り返って常の調子で後ろの二人を見た。
ニコレッタ
「きちんとイかせてやったかよ」

事が終わるのを見届けて。
つかつかと歩み寄って掌を上に向け、差し出した。つまり"オレの取り分"だ。
ななせ
ニコレッタに少し遅れて、サニシャの近くへと歩んでくる。
それから、ふたりの様子を窺った。
サニシャ
サニシャは血だまりに沈むありすに手を伸ばし、救世主の証をひとつひとつ拾い集めた。
そして3等分したあとに、ニコレッタの掌に。続いて、ななせの方にも「どうぞ」と差し出した。
ななせ
「……ありがとう」

差し出されたコインを受け取る。
ちら、とありすだったものへ
一瞬だけ視線を向けて。
それから、ポケットへ仕舞った。
ニコレッタ
「こいつで、ようやく救世主とやらの、第一歩ってコトでいいのかね」

同じく受け取ったコインを、懐へ仕舞いこむ。
GM
ここでやらなければいけないことはすべて終わりました。
GM
もしこの屋敷を出るならば、北の方角に人里があることをペットの誰かが教えてくれます。
ニコレッタ
親切にありがとう末裔!
GM
あとはこの屋敷を乗っ取るもよし、旅立つもよし、ご自由にどうぞ。
サニシャ
「これからどうしましょうか?」
ニコレッタ
「……ま、オレらはお互い次の"30日"まで間があるんだ。今すぐここで殺りあうってコトもねえだろ。

 三人であいつ(末裔の一人を指差す)が言ってた人里とやらに行ってみて、それから考えるのが一番まるいと思うが──」

こんなクソみてえなとこに残るってんなら、止めねえけどな?
と、残り二人の表情を伺う。
ななせ
「誰がこんなとこ残りたいと思うのさ……。
行ってみようよ。この世界だって、もうちょっとくらいは広いはずでしょ」
サニシャ
「ななせさんの言う通りです。
 私達ならあの荒野もきっと抜けられますし、ここ以上に出来る事があるでしょう」
GM
新たなPKは生まれなさそうです。
ニコレッタ
「今度こそ、あのクソデケえ兎が出たらとっちめてやんねえといけねえしなあ~~」

大洪水の恨み。
サニシャ
「あの……私はできれば何事もなく抜けたいです……」
GM
特にやり残したことがなければ、荒野に出立する三人の後ろ姿にエンドロールがかかってENDになります。
ニコレッタ
「おし、そうと決まったら、楽しい荒野の旅に出発だぜお前ら~。ちゃちゃっと準備して1時間後に出発だ!忘れもんすんなよ~」
ななせ
「ま、3人でいれば大丈夫でしょ。
大した荷物ないし、もらえそうなものはもらって行こうかな」

硬いパンとか。
サニシャ
「あまり持ちすぎては疲れますから簡単に、ですよ」

サニシャはおそらくこの剣を持っていくくらい。
GM
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GM
“主は言われた、”
GM
“あなたは何をしたのです。あなたの弟の血の声が土の中からわたしに叫んでいます。”
GM
“今あなたはのろわれてこの土地を離れなければなりません。この土地が口をあけて、あなたの手から弟の血を受けたからです。”
GM
“あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう”
GM
最初の責務を果たしたあなたたちは、
GM
救世主の箱庭をい出て、野へと旅立つ。
GM
そこに救世主(アリス)の案内役たる白兎の姿はない。
GM
あなた達は救世主。
GM
あなたたちを救うものも、導くものもいない。
GM
けれどもあなたたちは歩き出す。
GM
果てに堕落と暗闇しかないと、知っていても。
GM
Dead or AliCe
『救世主の箱庭』
          おわり
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