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GM
みなさんお揃いかな
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片喰あずみ
おります
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ロージィ
はーい
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GM
お集まりいただきありがとうございます
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GM
それではシナリオ『宝島』、始めていきましょう
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GM
よろしくおねがいします
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片喰あずみ
よろしくおねがいします!
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ロージィ
よろしくおねがいします~!
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GM
わ~
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GM
まずは、お二人の自己紹介からお願いします
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GM
ハンドアウト順に、あずみさんからどうぞ
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片喰あずみ
はい。
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片喰あずみ
片喰あずみ。
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片喰あずみ
今は救世主とか言われてるけど、元の世界では狩人をやっていた。
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片喰あずみ
吸血鬼とか、モノビーストとか。そういう化け物を倒す仕事。
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片喰あずみ
……そのあたしが、今は吸血鬼とふたり旅なんてな。人生何があるかわかんねーもんだ。
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片喰あずみ
あたしはモンスターを恨んでる。許したつもりはない。
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片喰あずみ
だけど今は、まあ。一緒にいた方が都合がいい。
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片喰あずみ
いざとなれば、あいつを後ろから貫けばあたしの寿命を一ヶ月延ばせるしな。
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片喰あずみ
心の疵について。
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片喰あずみ
『狩人の誓い』
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片喰あずみ
モンスターに多くを奪われた。モンスターを恨んでいる。ただ一つの例外なく。
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片喰あずみ
それなのに今、吸血鬼と行動を共にし、助けて助けられている。
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片喰あずみ
罪悪感がある。失った仲間への、大切な人への。
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片喰あずみ
そして、どこかで傍らの吸血鬼に対しても。
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片喰あずみ
『守りたいもの』
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片喰あずみ
元の世界に子供を残してきている。
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片喰あずみ
血の繋がりはない。死んでしまった恋人の子供だ。
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片喰あずみ
彼もまた狩人で、吸血鬼に殺された。
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片喰あずみ
子供のことをいつも思っている。
他に頼るもののない彼のためにも必ず帰らなければいけない。
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片喰あずみ
唯一の保護者を失った幼子がどうなっているか、その顛末が予想できても。
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片喰あずみ
以上です。
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GM
ありがとうございます。
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GM
次は、ロージィさんお願いします。
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ロージィ
はーい。
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ロージィ
ロージィ。
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ロージィ
元の世界では吸血鬼をしてたよ。今は救世主~! キュウだけおんなじだね。
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ロージィ
村の人達に捕まって、磔にされて、火に架けられて……。なんでこんなところにいるんだろうね。地獄かな?
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ロージィ
でも吸血鬼にとっては元の世界よりも地獄のほうが生きやすいかも!
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ロージィ
今はぁ~あずみと一緒に旅してるよ。
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ロージィ
ベタベタすると嫌がるよ。でも吸血鬼から逃れられる人間なんていないからね!
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ロージィ
ベタベタしてまーす。
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ロージィ
『眷族にしたい?』
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ロージィ
そんなあずみを~、眷族に~したいな~って思ってるんだよね。ほらやっぱり吸血鬼としてはさ……憧れあるよね。眷族。
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ロージィ
でも強引に眷族にしたら嫌われるだろうし……あずみがオッケーしてくれたらいいんだけど……でもノーって言われたらと思うと踏ん切りつかない、よね~。
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ロージィ
でも絶対楽しいと思う。
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ロージィ
『許されざる者 / 許されし者』
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ロージィ
吸血鬼になったら人の血じゃないと生きていけない。
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ロージィ
まあ、自分たちの命を狙ってくる吸血鬼を許せないっていうのはわかるよ。だから許されなかった。
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ロージィ
でも堕落の国は違う。
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ロージィ
いや、別にみんないっぱい飲んで飲んで~ってしてくれるわけじゃないけど、救世主の責務なんてものがある。殺し合うのが当然の世界で、それが責務なんて言われてる。
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ロージィ
私はこの世界に許されている。
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ロージィ
あとなんかずっと曇ってて太陽出てないし最高だよね!!!!!
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ロージィ
以上です~!
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GM
はい、ありがとうございました
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GM
あずみさんはハンターで、ロージィさんは吸血鬼ということですが
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GM
ロージィさんの出身も興奮剤打ちながら追ってくるハンターがいた世界という認識で大丈夫なのかな。
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ロージィ
そうですけど~18世紀のイギリスっ子だよ。
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ロージィ
だから時代と地域が違うねえ。
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GM
なるほどね
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片喰あずみ
昔からハンターは興奮剤を使って戦ってたんだなあ。
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GM
歴史ある興奮剤
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ロージィ
健康によくないよ~血もまずくなるし。
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GM
健康に気を使ってくださっている
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片喰あずみ
まずい方が吸われなくてよくない?
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ロージィ
まずくても吸うよ。
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片喰あずみ
そう……。
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GM
それでは、導入から始めていきましょうか。
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GM
裁判で傷つき、遁走するお二人のシーンからやっていきます。
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GM
……
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GM
Dead or AliCe
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GM
『宝島』
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GM
あなたたちは走っている。
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GM
月の光すらも、雲に遮られる堕落の国では
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GM
夜の闇を駆けるには、頼りない灯りか、心の疵由来の超感覚が頼りとなるだろう。
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GM
あなたたちの片方、ないしは両方は、裁判で手酷い傷を負っている。
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GM
昏倒し、倒れ伏すことだけは、なんとか避けられた。
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GM
しかし、その運命もすぐ背後に迫っている。
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片喰あずみ
自分より重傷のロージィに前を走らせ、あずみは殿で救世主の放つ矢を杭で弾く。
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ロージィ
息を切らして走る。おびただしい量の血液を滴らせ。
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ロージィ
体中を救世主の放った矢に貫かれている。
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GM
『どうしたどうした。夜の戦いはそっちが有利なんだろぉ。エエッ!?』
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GM
背後から救世主の下卑た声が響く。
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GM
気配は複数。放たれた矢は配下のものだ。
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片喰あずみ
元の世界より身体能力が上がっているとは言え、走りながら複数の敵の攻撃を捌くことは容易ではない。
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GM
堕落の国の裁判は、“いい勝負”にはならないこともある。
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GM
均衡が崩れてしまった裁判は、もはや裁判ではなく“狩り”だ。
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片喰あずみ
追い詰められていることが分かる。
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ロージィ
「えーんあずみ~、このままじゃ殺されちゃうよ~」
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片喰あずみ
「分かってるよ! とにかく走れ!」
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片喰あずみ
辺りに目を向ける。この場を切り抜ける手段がないか、必死で頭を回転させる。
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GM
本気で逃げる救世主を捕らえることは、同じ救世主であってもそう簡単ではない。
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ロージィ
「死ぬ前にっ、作りたかったなー、眷族っ」
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GM
とはいえ、時間の問題だ。この場にいる誰もが、そう感じていたに違いない。
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片喰あずみ
「こんなとこで、死んでたまるか……っ」
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GM
しかし。
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GM
気がつけば、射掛けられる矢の雨はいつのまにか止んでいる。
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GM
背後に迫っていた、複数の篝火もない。
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片喰あずみ
「…………?」
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ロージィ
体から引き抜いた矢を投げ返そうとして、事態に気づく。
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GM
声も上がらない。
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ロージィ
「……?」
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片喰あずみ
辺りに注意しながら足を止める。
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GM
痛いほどの静寂。
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GM
夜の種族であっても、どうしてか数メートル先も見渡せない闇の中。
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GM
あなたたち二人だけが取り残された。
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片喰あずみ
「……ロージィ、お前なんかした?」
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ロージィ
「してないけど……」
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GM
あなたたちがひとつ理解できることがあるとすれば……
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GM
戻ろうとしてはいけない、ということだけだ。
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ロージィ
ロージィの体は常に燃えている。その炎でさえも照らせぬ闇。
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ロージィ
「……なんか、ヤバいよ、あずみ」
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片喰あずみ
「……ああ」
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GM
あなたたちは先に進むしかない。
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ロージィ
抱きつこうとして腹に刺さったままの矢がつかえる。
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片喰あずみ
狩人としての経験上、この手の直感には素直に従った方がいい。
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片喰あずみ
「……とりあえず進むか」
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ロージィ
「うん」
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片喰あずみ
「それは後で抜いてやるよ」
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GM
あなたたちは足元もおぼつかない夜の闇の中を進む。
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GM
血を滴らせながら、どれだけ歩いただろうか。
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GM
……前方に、標のように、光が見える。
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GM
それは格子状の窓枠の形に、切り取られ漏れ出た光だった。
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GM
……どうやら、建物がある。
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ロージィ
まるで導かれている、と思った。
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ロージィ
「あずみ」
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片喰あずみ
「ん」
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ロージィ
警戒しながら近づく。
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ロージィ
「入ってみるしかなさそうだけど」
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片喰あずみ
「そうだな……」
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片喰あずみ
「ここまで他に何もなかった」
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片喰あずみ
「見えなかっただけかもしれないけど」
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GM
近づくと、両開きの扉が見える。
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ロージィ
「私が見えないってのは”そういうこと”だよ」
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GM
ロージィは、得も言われぬ感覚を覚えるだろう。
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ロージィ
「まあ、あいつらに倒されて、陵辱されたかもしれないしー……」
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ロージィ
「……?」
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GM
それは、堕落の国に来る前に、神聖とされる何がしかに近づいたときのそれと同じである。
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片喰あずみ
「……どうかしたか?」
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ロージィ
むむ。
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GM
この建物が、教会であることに気づけるかもしれない。
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片喰あずみ
あずみには何も感じられない。
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ロージィ
「……なんでもないよ。いこ」
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片喰あずみ
「そうか」
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片喰あずみ
結局は開けるしかないように思えたので、深くは触れない。
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片喰あずみ
両開きの重々しい扉に手をかける。
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片喰あずみ
「開けるぞ」
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GM
堅牢に見えるそれは、さほどの抵抗もなく開くだろう。
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ロージィ
目を細めて、開く扉の向こうを見る。
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GM
玄関ホール。
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GM
暗い室内の向こうから、ランタンを手に現れるものがいる。
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女性
「…………こんばんは」
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女性
「お客様でしょうか?」
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女性
血に濡れ、傷を負った二人の姿に、まあ……と口元を手で覆う。
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片喰あずみ
「あー……ども」
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ロージィ
「おじゃま、しますぅ」
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女性
「ひどい怪我を! 早く手当をしなければ……」
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女性
慌てた様子で、ソファかなにかに寝かせようと促す。
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ロージィ
「あっ、あーっ、そんなご親切に……」
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ロージィ
いささか親切にされることに抵抗がある、とはいえ。余裕がある状況でもない。
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片喰あずみ
女への警戒と戸惑いを抱えながら、ロージィを見る。
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片喰あずみ
「……とりあえず、手当させてもらおう」
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ロージィ
「助かります……」
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ロージィ
素直に促されるまま、ソファへ。
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片喰あずみ
この女は末裔か、救世主か。救世主なら自分たちを騙し討とうとしているのかもしれない。
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片喰あずみ
そうだとしても、この怪我を抱えたままではまともに戦えない。
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女性
手慣れた様子で、手当を施していく。
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女性
怪我に驚いているが、怯えている様子はない。
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女性
年齢は二十歳程度といったところだろうか。
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女性
修道女の恰好ではないが、どこか清廉としたものがある立ち居振る舞い。
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片喰あずみ
「……悪いね、こんな夜中に邪魔して。手当まで」
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ロージィ
「ありがとうございます」
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ロージィ
教会。そのいかにも清く正しそうな振る舞いに覚えるのは嫉妬。
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女性
「いいえ。当然のことを、しているまでですよ」
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ロージィ
けれども施しを拒むことも敵わない。
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女性
女性はカルセラと名乗る。
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ロージィ
そんな、手当なんてしなくても、血をいただければ。
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ロージィ
とは言えなかった。
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片喰あずみ
カルセラと名乗った女に、こちらも名を伝える。
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片喰あずみ
「あんたは……救世主なのか?」
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ロージィ
同様に、「ロージィ」とこぼすように名乗り、二人のやり取りを聞いている。
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カルセラ
その問いに頷く。
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カルセラ
「警戒なさる気持ちもわかります」
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カルセラ
「でもどうか、信じていただけませんか?」
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カルセラ
「少なくとも今は、あなたたちに危害を加えようという気はありません……」
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片喰あずみ
「……」
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片喰あずみ
見定めるように、カルセラを窺う。
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片喰あずみ
今は、ね……。
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ロージィ
「まあ、疑っても仕方がありませんものね」
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片喰あずみ
「……そうだな」
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片喰あずみ
仕掛けるなら、タイミングはいくらでもあっただろう。
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ロージィ
こうして生き延びて手当を受けているだけで儲けもの。それ以上は望めない。
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カルセラ
カルセラはしばらく前から、一人でこの教会で暮らしているのだという。
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カルセラ
それは本当のようで、この教会にこの三人以外の気配はない。
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カルセラ
「……こちらへ。今晩は、休んでゆかれるとよいでしょう」
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カルセラ
手当が済めば、ホールや礼拝堂を通り過ぎ、二人を客室へと案内するだろう。
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ロージィ
「お言葉に甘えさせていただきます」
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片喰あずみ
「ああ、助かるよ」
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ロージィ
付き従う。治療を受けたが、本調子ではない。
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片喰あずみ
ちらとロージィの様子を気にかけながら、カルセラについてゆく。
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GM
堅固に見える教会だが、壁や天井にはところどころヒビや穴を塞ぎ、取り繕った箇所がある。
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GM
亡者あるいは救世主の攻撃、災害に耐えてきたのだろう。
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ロージィ
神の家に招かれて施される吸血鬼かぁ。
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片喰あずみ
手当てされて逆に身体弱ったりしねーのかな……。
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カルセラ
そうして客室へと通される。
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カルセラ
大した家具があるわけではないが、堕落の国での寝床としては申し分ないだろう。
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カルセラ
二人のために急いで用意されたらしく、やや埃っぽい。
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片喰あずみ
時には何日も荒野を行くこともある。ベッドで寝かせてもらえるだけで上等だ。
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片喰あずみ
「助かるよ。ありがとな、カルセラ」
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ロージィ
「どうもありがとうございます」
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ロージィ
この状況が、疵に触れないかというと、確かに触れる。
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カルセラ
一礼して、カルセラは部屋を後にする。
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ロージィ
同じく礼を返す。
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片喰あずみ
立ち去る女を見送った。
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GM
あとには二人が残される。
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ロージィ
信仰の下に火にかけられた。ロージィは聖性を信じている。それに否定されることを疵にしている。
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ロージィ
今もなお、疵は目に見える形で現れて、何も焼くことのない炎として揺れている。
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片喰あずみ
「とりあえずお前、先に寝とけ」
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片喰あずみ
ベッドに腰掛けて、端的な言葉をかける。
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片喰あずみ
「あたし起きとくよ。一応な」
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ロージィ
「え~、あずみも一緒に寝ようよ~」
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片喰あずみ
「あ~?」
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ロージィ
同じベッドに腰掛けて身を寄せる。
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片喰あずみ
「寄ってんじゃねえよ」
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片喰あずみ
「あっちのベッド使え」
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片喰あずみ
懐を探る。タバコを切らしていたのを思い出して、舌打ち。
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ロージィ
「や~んケチ~。減るもんじゃないし~」
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ロージィ
といいつつ向こうのベッドに。
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ロージィ
「おやすみ」
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片喰あずみ
「ん」
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ロージィ
「無理しないでね」
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片喰あずみ
「……ああ」
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片喰あずみ
「おやすみ」
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GM
……
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GM
では、あなたたちは眠……れたかどうかはともかくとして、休むとして。
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GM
やがて夜が更け、朝がやってきます。
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GM
窓の外は、(堕落の国基準で)明るいものとなり。
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GM
遠くから潮の音がします。
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GM
昨夜はそれどころではなかったので気づけなかったかも知れませんが、
どうやらこの教会は海の近い場所に建っているようです。
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GM
しばらくすると、部屋に近づいてくるものがいます。
カルセラです。
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ロージィ
ロージィはガッツリ寝てます。
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片喰あずみ
「おい、起きろ」
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片喰あずみ
ロージィの肩を揺する。
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ロージィ
「そんな、あずみ、今日はずいぶん積極的……」
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片喰あずみ
「どんな夢見てんだよ毎度のことながら」
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片喰あずみ
耳を引っ張る。
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片喰あずみ
ぐい~
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ロージィ
「あ、おはよう」
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ロージィ
「うーんよく寝た」
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片喰あずみ
「そりゃ何よりで」
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GM
コンコン。ノックの音。
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カルセラ
「おはようございます」
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ロージィ
「おはようございます」
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片喰あずみ
「おはよう」
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カルセラ
「朝食の用意ができていますよ」
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カルセラ
ふたりともちゃんと休めたようで何よりです。
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片喰あずみ
休んだ休んだ。
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片喰あずみ
「ああ、ありがとう。いただくよ」
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ロージィ
「わ~、いただきます~」
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カルセラ
食堂へと案内します。
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カルセラ
席につくと出てくるのは……
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GM
海ぶどうを和えたスパゲッティ。
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GM
オムレツ。
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GM
なにかよくわからない実のジュース……
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GM
堕落の国基準では、異常に豪華なメニュー。
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片喰あずみ
目を瞠る。
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ロージィ
「えっ、すごーい!」
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ロージィ
「よかったねえあずみ!」
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片喰あずみ
「ああ……」
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片喰あずみ
「どうしたんだ、これ?」
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片喰あずみ
「この辺りはそんなに豊かなのか?」
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片喰あずみ
カルセラに尋ねる。
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カルセラ
「……ええ」
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カルセラ
窓の外へと視線を向ける。
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GM
闇が払われた外の光景。
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GM
背の低い草が地面を覆い、
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GM
枯れていない樹が立ち並び、果実を実らせている。
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GM
亡者ではない禽獣の姿さえ見える。
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GM
まるで堕落の国ではないかのような光景だった。
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片喰あずみ
とても堕落の国の有り様とは思えない光景。
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片喰あずみ
一体どうなっているのか……。
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カルセラ
「心の疵、ですね」
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ロージィ
「あー……」
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カルセラ
あなたたちも、豊かな資源を齎す心の疵の力があることは知っているだろう。
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カルセラ
堕落の国で栄える都では、その力が礎となっている。
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片喰あずみ
「なるほどな……」
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ロージィ
「大当たりの疵じゃん」
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カルセラ
「ええ……。ですから、私もこうして一人で過ごすことが出来ているのです」
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カルセラ
そう言うカルセラの様子は、どこか浮かない。
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片喰あずみ
「そりゃすごい」
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片喰あずみ
こういうのの恩恵に与れるやつらは、他の救世主を差し出してでも生かそうとするだろうな……とか思う。
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片喰あずみ
「でも、にしてはあんまり嬉しそうじゃないね」
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ロージィ
救世主の責務はどうしているんだろう、と思う。
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ロージィ
戦うような力じゃないなら、守ってもらったほうがいいはず。
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ロージィ
話をしながら、オムレツやスパゲッティの多くをあずみの皿に盛り直す。
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ロージィ
ロージィが食べる量は一口程度。
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カルセラ
「おや……お口に合いませんでしたか」
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片喰あずみ
結構な量が盛られていく。
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ロージィ
「いえ、少食なだけです。大丈夫」
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ロージィ
人に与える心の疵の力。
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片喰あずみ
「ああ、あたしがありがたくいただくよ」
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ロージィ
私の力は人から奪う心の疵の力だ。
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カルセラ
「そうでしたか……。すみません。
 久々のお客様だったので、張り切りすぎてしまいましたね」
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ロージィ
「いえいえ、とても美味しいです。ありがとうございます」
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ロージィ
もちろん嘘だ。今も吐き気を我慢している。
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カルセラ
「ここで過ごしていると、どうしても人との関わりに飢えてしまって」
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カルセラ
カルセラはそれに気づく様子もない。
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カルセラ
「……」
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片喰あずみ
ほぼ二倍になった朝食を食べ進める。
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カルセラ
「おふたりとも、食事が終わったら、私についてきていただけませんか?」
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カルセラ
「見せたいものがあって……」
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ロージィ
「はーい、大丈夫です」
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片喰あずみ
「ああ」
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片喰あずみ
「何を見せてくれるんだ?」
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カルセラ
「ありがとうございます」
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ロージィ
現状を判断する材料が不足している。断る理由はない。
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カルセラ
「この心の疵の力に関わるものと……」
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カルセラ
「私が、ここで過ごしている理由に関わるものです」
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GM
そうして、三人が食事を終えると。
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GM
あなたたちは、カルセラに案内されるまま教会を出て、少し歩く。
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GM
教会は、海を臨む丘の上に建っていた。
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GM
堕落の国の海は、淀み汚れたものであるはずだが、
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GM
ここの海は、妙に澄んでいた。
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GM
三人は砂浜へとやってくる。
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GM
水平線は、霞がかっていて、ぼんやりとしか見えない。
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カルセラ
「この海岸には……」
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カルセラ
「ひとつの伝説があります」
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片喰あずみ
「伝説?」
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ロージィ
「……」
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カルセラ
水平線を向いて、カルセラが語り始める。
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カルセラ
「あなたたちは、この堕落の国から、出たいと思ったことはありますか?」
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ロージィ
「えっ、全然!」
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カルセラ
「元の世界。あるいは、どこか別の所……」
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ロージィ
即答する。
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片喰あずみ
「……」
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カルセラ
「なるほど……」
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カルセラ
「私とは、違う考えのようですね。ロージィさんは」
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片喰あずみ
「じゃあ……」
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片喰あずみ
こいつも、あたしと同じなのか。
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カルセラ
「私には、愛を誓いあった人がいました」
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カルセラ
カルセラはずっと海の彼方を向いている。
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ロージィ
「あ~」
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カルセラ
「この海岸には、いつか……」
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カルセラ
「霞の彼方から、船が現れて」
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片喰あずみ
大切な人が、ここではない世界に。
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カルセラ
「戦いに疲れた救世主を、元の世界に送り届けてくれるのだと」
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カルセラ
「そういう、言い伝えがあるのです」
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片喰あずみ
水平線に視線を向ける。
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ロージィ
「確かに、それじゃあ元の世界に帰りたいねえ」
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カルセラ
「ええ」
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ロージィ
うんうん。わかるわかる。
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片喰あずみ
元の世界に。
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片喰あずみ
送り届けてくれる。
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カルセラ
「だから私は、ここで船が来るのを待ち続けているのです……」
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片喰あずみ
「へぇ……」
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ロージィ
「でもぉ~、私の最高のパートナーっていったらあずみですし? わたしたちは大丈夫かな~、って……」
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片喰あずみ
水平線に目を凝らしても、船らしきものは見えはしない。
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ロージィ
あずみの腰に手を回しながら、早口で話す。
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片喰あずみ
いつもなら触るなとか言って手でもはたくところだけど、今はただ突っ立っている。
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ロージィ
この微妙に傾いだような空気を、どうにかしたくて。
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片喰あずみ
海を眺めている。
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ロージィ
「それに~、その伝説って本当なんですか~?」
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ロージィ
「まあ、いいところだから? 待つにはよさそうですけどぉ」
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カルセラ
「さて、どうでしょうね」
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カルセラ
「もし本当であることを証明できるなら、私はここにいませんよ」
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片喰あずみ
元の世界に帰る方法、と謳ったものはこれまでにもいくつか耳にした。
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片喰あずみ
その多くはまがい物だ。
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ロージィ
「確かにそうですね!」
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ロージィ
「でも、他に帰りたい救世主もここに来そうだから、責務を果たすにはちょうどいいのかも」
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ロージィ
なーんて。
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カルセラ
「…………」
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カルセラ
ふぅ、と息をひとつ吐く。
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片喰あずみ
けれどその中には、ほんの一握りだけ真実もある、と、言われている。
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カルセラ
「あなたたちに見せたいものは、もう一つあります」
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カルセラ
「…………そろそろ、来るころです」
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カルセラ
振り返る。
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カルセラ
前髪の奥からの視線は、あなたたちではなく、そのはるか後方を向いている。
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GM
風が唸る音。
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片喰あずみ
海に向けていた視線を背後に向ける。
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GM
丘の向こうから、何か巨大なものが飛来してくる。
三人の上に影が落ちる。
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ロージィ
あずみから飛び退くように離れて、それを見る。
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片喰あずみ
「あれは……」
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巨大な翼が羽ばたく。
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地響きを立てて、砂浜に降り立つ。
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爪と牙を備えた巨怪。
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それは、人が竜と呼ぶような姿をしていた。
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「…………」
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鳴き声の一つもあげず、三人を睥睨する。
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ロージィ
「……」
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片喰あずみ
咄嗟に杭を構える。
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「………………」
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凶器を向けられても、それを気に留める様子はない。
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それどころか、あらぬ方向に首を向けてしまう。
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片喰あずみ
「亡者……」
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片喰あずみ
「にしては、なんか……」
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カルセラ
「ええ」
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ロージィ
「様子がおかしいね」
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カルセラ
「亡者です」
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亡者
三人が亡者と呼ぶそれは、
海辺に生える萎びて元気のない椰子の木を見つけると、
それに向けて、大きなあぎとを開く。
avatar
GM
吐きかけられるのは翠色のブレスだ。
avatar
GM
すると、椰子の木に変化が起こる。
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カルセラ
「恵みを齎す疵の力は……」
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カルセラ
「私のものではないのです」
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GM
その言葉通りに、
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GM
椰子の木はみるみる活力を取り戻し、新しい果実を実らせすらする。
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片喰あずみ
「亡者の……」
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ロージィ
「亡者の心の疵が……?」
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片喰あずみ
「そんな事あるのか……」
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カルセラ
「あの亡者のことを、私は“ワンダーバッフェ”と呼んでいます」
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カルセラ
「ワンダーバッフェは……」
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カルセラ
「この海岸に生命の育みをもたらし」
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カルセラ
「そしてこの海岸に近づくものと、出ようとするものを襲うのです」
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ロージィ
「近づくものと出ようとするもの……」
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ワンダーバッフェ
ワンダーバッフェと呼ばれた亡者は、三人を襲おうとする素振りをまったく見せない。
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ワンダーバッフェ
それどころか、満足したように、三人を置いて再びどこかへと飛び去ってしまった。
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ロージィ
「まるで私たちにここにいてほしいみたいですねえ」
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片喰あずみ
「わけの分からん亡者だな……」
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カルセラ
「彼が何を考えているのかは、私にも」首を横に振る。
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カルセラ
「あなたたちは、運が良かったのでしょう」
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カルセラ
「本当なら、この教会に来たときに、襲われているはずなのです」
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カルセラ
「何か別の侵入者を、見つけたのでしょうね」
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片喰あずみ
「……」
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ロージィ
「ちょうど追われてたんですよ。他の救世主に」
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ロージィ
「多分、それでしょうね」
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片喰あずみ
「下手すりゃやつらと一緒に仲良く襲われてたのか」
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ロージィ
「でも、そうなると困っちゃうね」
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ロージィ
「みんな出られない、ってことだよね」
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カルセラ
「……ええ」
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ロージィ
「食べ物は……あるみたいだけど」
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ロージィ
救世主はパンだけで生きていけるわけじゃない。
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片喰あずみ
「……救世主の責務は」
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片喰あずみ
「今までどうしてたんだ?」
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片喰あずみ
「あんな門番がいるんじゃ、そうそう運良く人が来るもんでもないだろ」
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カルセラ
「………………」
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カルセラ
「それは………………」
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カルセラ
言いづらそうに沈黙をはさみ。
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カルセラ
「確かに危険な地ですが、救世主にとって魅力的な場所でもあるらしいですからね、ここは」
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カルセラ
「来ないわけではありませんし……」
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カルセラ
また沈黙を挟んで。
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片喰あずみ
じっとカルセラを見ている。
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カルセラ
「……“おこぼれ”が、ありますから」
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ロージィ
「ああ……」
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ロージィ
つまりそれは、ワンダーバッフェが昏倒させた救世主のこと。
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カルセラ
なにかに耐えかねた様子で再び水平線のほうを向いた。
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片喰あずみ
「……なら、あたしらは本当に運がよかったみたいだな」
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ロージィ
「……」
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カルセラ
「少なくとも、ここにいる間はワンダーバッフェに襲われることはありません」
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カルセラ
「その間に、英気を養い、傷を癒やして……」
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ロージィ
「……」
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カルセラ
「どうするかを、考えるとよいでしょう」
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ロージィ
「……どうして殺さなかったの?」
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カルセラ
「“必要以上”に、殺めたくはないだけですよ」
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片喰あずみ
昨日、カルセラは”今は”と言った。
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片喰あずみ
責務を終えたばかりだったのだろう。なんとも運のいいことに。
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ロージィ
ロージィは問わない。それを聞いても、いいことは自分にないと直感していたから。
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カルセラ
「あなたたちが選べるのは」
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カルセラ
「ワンダーバッフェを倒し、ここを去るか……」
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カルセラ
「私と一緒に、船を待つか」
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カルセラ
「……きっと、そのどちらかになるでしょう」
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カルセラ
疲れた様子でそう言い残して、カルセラは教会へと戻っていく。
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ロージィ
「……」
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片喰あずみ
また海に視線を向ける。
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ロージィ
「あーあ、あいつらを倒せちゃう亡者かぁ」
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ロージィ
「私たちに倒せるかな~」
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片喰あずみ
「…………少なくとも」
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片喰あずみ
「怪我の治らない内は、無理だろうな」
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ロージィ
「うん」
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片喰あずみ
言葉を返しつつも、あずみの視線は水平線へと向けられている。
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片喰あずみ
「だから、まあ」
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片喰あずみ
「しばらくは」
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片喰あずみ
「ここに、いるしかないな」
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ロージィ
「うんうん」
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ロージィ
しばらく。
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ロージィ
「それまで美味しいご飯を食べれてよかったね」
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片喰あずみ
堕落の国を抜け出す方法なんて、その多くはデタラメで。
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片喰あずみ
カルセラがそう言っているだけのことで。
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片喰あずみ
「ああ」
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片喰あずみ
そんな事は不可能なのに、哀れなやつだと一笑に付してしまえばいい。
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片喰あずみ
そう思うのに。
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片喰あずみ
視線は今も、海の彼方に向けられている。
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ロージィ
「……」
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ロージィ
ロージィは問わない。それを聞いても、いいことは自分にないと直感していたから。
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ロージィ
「戻ろっか」
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片喰あずみ
「……ああ」
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片喰あずみ
どこか名残惜しそうに、海に背を向ける。
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片喰あずみ
「……あんまり海を見てると、あいつに襲われるかもしれんしな」
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GM
あなたたちが見ていた海。
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GM
そのもやの向こうの影が、ほんの少しだけ蠢いた気がした。
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GM
導入を終わります。
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