GM
余裕のある人はコマの準備などしておくと良いと思います
GM
さて……
GM
そろそろお時間ですね
GM
ご準備はよろしいですか?
エリー
いいぞ!
クーレット
はい……!
GM
はい!ありがとうございます
GM
それでは早速セッションはじめていきたいと思います
GM
よろしくお願いします。
エリー
よろしくお願いします!
クーレット
よろしくお願いしまーす
GM
---
GM
Dead or AliCe

      『Scum of Alice』
GM
それでは……
GM
PC2の導入からはじめます。
エリー
はぁい
GM
救世主エリー。
GM
あなたは荒野を歩いています。
GM
目的地をどこと定めているのかはわかりませんが、旅の途中です。
エリー
どこにいってもしみったれた土地だなぁ
GM
仲間を失ったのか、もとから連れていなかったのかはわかりませんが、いまは一人です。
GM
枯れ果てた大地を歩いていると……
GM
風の運ぶものに、次第に白い霧が混じり始めます。
GM
どこか陰鬱な気配を纏って。
GM
『白霧街』が近いのでしょう。
GM
……『白霧街』。
GM
旅の途中にある、救世主バスカリオの治める街。
GM
いかな救世主と言えど、本当に独力で荒野を歩き続けるわけには行きません。
GM
途中で羽根を休める場所も、補給をする場所も必要。
GM
だから、あなたはこの街を無視することは出来なかった。
GM
(白い霧を歩く救世主をバックに、テロップが浮かぶ演出)
GM
(拝啓、アリス。
 愛しいアリス。)
GM
(以下略)
エリー
「む、霧か……そういえば『白霧街』とかいう街が近かったな……」
GM
あまりいい噂は聞きません。この街については。
GM
とはいえ、入れば出られぬ魔窟というわけでもないようです。
エリー
荒野を行くにしては小奇麗な服に小柄な体躯の救世主が一人。
エリー
ううむと考え事をしつつもその足は『白霧街』へと向かっている。
GM
そんなこんなで。
GM
白い霧に誘われるようにして、あなたは街の入り口へとたどり着きました。
GM
白霧街の門にもたれかかっていた衛兵が、霧の中から現れたあなたにはっとしたように姿勢を正す。
GM
「うん? なんだおまえは……?」
エリー
「やぁ、おつとめご苦労!」
GM
「おいおい、こんなガキが一人でどうしてこんなところに?」
GM
怪訝な表情をする衛兵の男。
GM
堕落の国の荒野を、一人で子供が歩くだなんて、奇妙な話だ。
エリー
「うんうん、衛兵ならそういう反応にもなろう。一人でこんなところにいる子供がどういう相手か思い当たらないか?」
GM
大人ですら、一人で出歩くことは命がけ。
GM
「……はっ!」
GM
「な、何の用、だ……?」
GM
さすがに頭の回転が追いついた様子。
エリー
「なに、たいしたことではない。ちょっとばかり旅に必要なものを手に入れたいだけだ」
エリー
「なにもとって食おうなどというわけではない」
エリー
はっはっはっは!と小さな体で胸を張る。
GM
「…………」
GM
「わかった。通れ」
GM
「だが、面倒を起こすなよ」
GM
「特に、バスカリオ様……」
GM
「この街の領主様には、歯向かおうなどとは思わないことだ」
GM
バスカリオ。あなたは彼のことを知っている。少なくともトレーラーに書いてある程度のことは。
エリー
「ふむ、覚えておこう」
エリー
(あまり良い噂は聞いていないしな……)
GM
さて、あなたは衛兵の畏怖の視線を背に受けながら、無事に街へと入ることが出来た。
GM
家々の窓や戸は閉め切られており、時折窓の隙間から、見知らぬ旅人を伺う視線がちらつく。
GM
この街を覆う霧、そのものを恐れるがごとくに。
エリー
「うーむ、噂通りというか……霧のせいか活気のない街だな」
GM
あなたはどうするだろうか。
宿を探す? それともよろず屋?
GM
あるいは……
GM
と、思案していると。
GM
街の一角から、何か物音が聴こえてくる。
GM
硬いものがぶつかる音。人の怒声。
エリー
「お、喧嘩か?」
GM
静かな街で、それはなお大きく響いた。
GM
もちろん、街の住民は知らぬ顔を決め込んでいる。
GM
あなたはどうする?
エリー
物音のするほうを覗きにいきます。こっそり
GM
では。そこであなたが目にしたものは──
GM
というところで、一度シーンを区切ります。
GM
ここで改めてエリーさんに自己紹介をしてもらいましょうか。
GM
しっかり喋ってもらっても簡素な説明でもどちらでも。
エリー
はーい
エリー
「私の名前はエリゼ・フォン・ウント・ツー・ヴァローリア」
エリー
「親しみを込めてエリー様と呼ぶがよい」
エリー
「元の世界ではこれでも高貴な身分だったんだぞ」
エリー
「もっとも、この世界では元の世界の身分など役には立たないが……」
エリー
「その代わり元の世界では知らなかったこと、触れられなかったことばかりだからな」
エリー
「目に映るもの全てが、とはいわないが新鮮だ」
エリー
「心の疵のことについて話しておこう」
エリー
「貴い産まれ、まぁ今さっき言った通りだな」
エリー
「生まれた時から高い身分だったのだ。だからこそ知っていることもあるが、むしろ知らないことの方が多い」
エリー
「生まれて間もなく両親も死んでしまったしな」
エリー
「まぁその分ずっと仕えてきた者たちがいたのだが……」
エリー
「もう一つの疵は『短慮』」
エリー
「んん……まぁ、なんというか、あまり考えることをしてこなかったんだ」
エリー
「そのせいで元の世界でも散々な目にあってなぁ~……うまく行ってることも多かったとは思うんだが」
エリー
「なのでまぁ、苦労も多いのだがどうも治らないんだ」
エリー
「いかんなぁ~とは思うこともあるんだが、どうしても面白そうなものがあるとつい、なぁ」
エリー
咳払い。
エリー
「ま、まぁ、こんなものだろう。充分かな?」
GM
はい。ありがとうございました。
GM
では、次。これから導入が始まるクーレットさんも自己紹介をお願いします。
クーレット
「は、はいっ……! クーレット、です。代用ウミガメの末裔です」
クーレット
「父と母と、モックスフォンドにいたのですが……両親は不幸にも亡者の襲撃に遭い、死んでしまいました」
クーレット
「なので、今は親のツテを辿って、白霧街でひとり暮らしています……」
クーレット
「あんまり、目立ったり、人前で何かするのが苦手なので……積極的ではない、ほう、だと思います」
クーレット
「では、次、心の疵について……(小声で)はずかしいよ……」
クーレット
「まずは『食べられたい』。これは代用ウミガメがあるべき姿だと思っています」
クーレット
「ウミガメの肉が食べられないから代用ウミガメがいる、ならば、末裔のぼくもいつかは食べられることが宿命だと思うのです」
クーレット
「でも、他の人はわかってくれないんです。命を差し出すような行為だーって、おかしいって……」
クーレット
「二つ目は『食べたい』」
クーレット
「これは両親を殺した亡者が死んだという、知らせを聞いたときに……」
クーレット
「せめてもの弔いとして、その亡者の肉を食べました」
クーレット
「柔らかくて、噛めば噛むほど濃厚な味が広がって……一生に一度しかないようなごちそうに思えたほどです」
クーレット
「でも、それからずっと、無意識のうちにぼくの手が震えることがあって……」
クーレット
「亡者の肉をもう一度食べたい、って、身体が訴えかけてくるんです」
クーレット
「だからといって、肉目当てに亡者を倒しに行くのもできないし……」
クーレット
「そう考えているうちに、亡者になる前の強力な生き物……つまり、10ペンスコインを蓄えた救世主さまも、おいしいのかな、とか考えちゃって……」
クーレット
「あああ、い、いけないことだとわかってるのにい~~…………」
クーレット
「ぐすっ、すいません、気にしないでください。引かないでください、ぼくはこういうやつなんで…………」
クーレット
(それから暫く泣き続け、自己紹介は中断された)
GM
ありがとうございました!
GM
それではお話を再開いたしましょう。
GM
PC2,クーレットさんの導入になります。
GM
さて……
GM
ここは白霧街の、路地の奥。
GM
さっそくですがあなたは追い詰められています。
GM
目の前にいるのは、身長二メートルは軽く越すであろう武器を携えた巨漢。
強腕のギリゴ
「クックックッ……」
クーレット
「ひいぃぃ~~~~……」
強腕のギリゴ
「どうした? さっきまでの威勢はぁ……」
GM
領主バスカリオの配下、『強腕のギリゴ』です。
クーレット
「あ……あう……」
GM
こう見えてもコックの末裔です。
GM
本当に?
強腕のギリゴ
「ガキでも、バスカリオ様に逆らうやつは、容赦しねえって言われてるんだ……」
クーレット
身体の大きさが……違いすぎる! クーレットは恐怖を感じたと同時に、大粒の涙を流していた。
GM
そう、あなたは領主バスカリオに歯向かった。
GM
あるいは、歯向かおうとしていた。
GM
どのような経緯があったのかはわからないが、その企ては失敗に終わり、こうしてギリゴに追い詰められることとなったのだ。
クーレット
その手には使い込まれたであろう包丁が握られている。
強腕のギリゴ
「ギハハハハァ。大した凶器だな……」
クーレット
バスカリオに日々の辛い生活はもう限界だ、と訴えはしたが。
クーレット
この凶器を振るおうとする前に、こうして追い詰められてしまった。
強腕のギリゴ
「オレの凶器とどっちが強いか……比べてみようぜえ……」
強腕のギリゴ
こしょうに異常適応し肥大化した腕が、大きな斧を振り上げる。
強腕のギリゴ
ただの末裔ではない。
クーレット
「……!!」
強腕のギリゴ
彼はバスカリオの眼鏡にかない、わずかにだがコインの力を分け与えられているのだ。
強腕のギリゴ
コインを持つものと、持たぬ者の力の差は歴然。
クーレット
「……ば、ばけも、の……?」
クーレット
あんな腕が大きくなる末裔なんて、見たことがない。
強腕のギリゴ
「いいやっ……これがバスカリオ様の力……救世主の力さ!!」
クーレット
「バ、バスカリオさまの……?」
クーレット
なんて恐ろしい力なんだ。全身の毛がぶるりと逆立ったように感じた。
強腕のギリゴ
「その素晴らしさを味わって、死になァ、ウミガメのガキ……!」
GM
ああ、助けは来ないというのか?
堕落の国はこうも非情だというのか。
クーレット
「あ、や、やめ……」
GM
斧が、振り下ろされ──
クーレット
ぼくも10ペンスコインがあったなら。
クーレット
何か、できたんだろうか?
クーレット
だが、今できたのは、こう叫ぶことしかなかった。
クーレット
「いや~~~~~~~~~~っ!!」
エリー
その斧はクーレットに振り下ろされることなく、小柄な体躯の握るステッキに受け止められる。
エリー
「なんだなんだ、喧嘩かと思って見に来てみれば。ただの弱いものいじめか?」
強腕のギリゴ
「なっ……!?」
クーレット
「…………」
クーレット
知らない声がする。恐る恐る、目を開ける。
強腕のギリゴ
「あ、ありえねえ!! こんなガキにっ、オレの斧が止められるだとォ!?」
エリー
「あれだけ自信たっぷりだったくせに。お前、この程度か」
強腕のギリゴ
それもただのステッキに!
強腕のギリゴ
「バカなっ……」
強腕のギリゴ
なにかの間違いだ!
エリー
「弱いな!」
強腕のギリゴ
そう思って、杖ごと小さな子供を押しつぶそうとする。
強腕のギリゴ
「ぐぬぬぬぬっ!」
クーレット
「あ、あなたは……」
見知らぬ子供に声をかける。
エリー
「ん、私か。私は、エリゼ・フォン・ウント・ツー・ヴァローリア」
クーレット
「エ、エ、エリゼ、ウン……ええっと……」
クーレット
こんなにも長い名前の人、初めて!
エリー
涼しい顔で受け止めていた斧をわきへと受け流すと、そのままギリゴの顔面へステッキを強烈に叩き込む。
強腕のギリゴ
「おいっ、オレを無視す──ぶべぇッ!」
強腕のギリゴ
もんどり打って転がる。路地に置かれていた樽が巻き込まれて派手に破壊された。
強腕のギリゴ
「て、てめえ~~~~~ッ、よくも、こんなっ」
エリー
「騒がしくてがさつなやつだな」
強腕のギリゴ
「オレに逆らうということは、バスカリオ様に歯向かうってことだぞっ!」
強腕のギリゴ
なんとか立ち上がって、斧を構え直す。
エリー
「……ああ、そういえばそうか」
エリー
うっかりうっかり。
クーレット
初めて見る少年が、初めて見る強さでギリゴをいとも簡単にいなしている。
クーレット
その少年の後ろ姿は、クーレットにとって何倍も頼もしく見えた。
強腕のギリゴ
「へ、へへっ、今から謝れば、許してやらねえこともねえぜえ……」
エリー
「だがなぁ、こうしてもう助けに入っているんだから、お前が誰の部下でも大した問題でもないだろう!」
強腕のギリゴ
「なッ……」
エリー
「それともなんだ、自慢できるのは主人の名前だけか?」
強腕のギリゴ
「ぐ、がっ」
強腕のギリゴ
「殺すッ!」
強腕のギリゴ
再び斧を大上段に構える!
強腕のギリゴ
「死ねッ!」
強腕のギリゴ
重たい鉄がエリーへと迫る!
クーレット
「あ、あぶないっ!」思わず叫ぶ。
エリー
振り下ろされる斧の一撃を踊るように躱す。
流れるような動きで足元の石片をステッキでギリゴの顔面へと放つ。
強腕のギリゴ
「ギャッ」
強腕のギリゴ
また顔!
強腕のギリゴ
オレのハンサム顔が……
強腕のギリゴ
斧は空を切って家屋の壁を抉り、ギリゴはたたらを踏む。
エリー
たたらを踏む足をステッキですくう。
クーレット
ああーっ壁が!!でもこんなピンチの時にそんなこと気にしていられない!!
エリー
ステッキの一撃は巨漢の重心をずらし、這いつくばらせるには十分だった。
強腕のギリゴ
「あ? えっ……」
強腕のギリゴ
ズン……
強腕のギリゴ
地響きを立てて這いつくばる。
エリー
「おお、なんだ、気が利くな!」
エリー
打ち頃になった頭部めがけて、ためらうことなくステッキを振りぬいた。
強腕のギリゴ
「あべっ」
クーレット
す、すごいものを見ている……!
強腕のギリゴ
「…………」
クーレット
そのステッキさばきに勇気づけられたのか、いつしか涙も止まり。
強腕のギリゴ
こ、これで、勝ったと思うなよ……
強腕のギリゴ
そう言いたかったかどうかはわからないが。
強腕のギリゴ
その巨体は完全に力を失って、四肢を投げ出して倒れ伏すばかりになった。
クーレット
「や、やっちゃってください!」
強腕のギリゴ
もうやられてしまった……
エリー
「うんうん、今ちょうどやってしまったところだ!」
エリー
ギリゴが倒れると同時に振り返る。
クーレット
おそろしく速いステッキさばきだった……
強腕のギリゴ
死~ん
[ 強腕のギリゴ ] HP : 18 → 0
クーレット
「あ、ありがとうございます!」90度のおじぎ。
エリー
「ああいや、なに。あまり考えずに飛び出しただけだ」
クーレット
地面と平行になった背中には、巨大な甲羅が見える。
クーレット
「いや、このままでしたらぼく、殺されてたところでしたし……」
クーレット
包丁をしまい、目の前の彼に敵意が無いことを示した。
エリー
「それはまぁ、そうだろうな。救世主バスカリオの力を分け与えられていただろうし……」
エリー
「なんでまたこんなやつに狙われるようなことになったんだ?」
エリー
すこし街を歩いただけでも、この街に何かに抗おうという空気は感じられない。
エリー
みせしめにしては目撃者も期待できない。
GM
騒ぎを聞きつけて、いくらかの住民が路地を覗きに来る。
視線が合えば、すぐに散っていくだろう。
クーレット
「それは……あいつの言葉を借りると、バスカリオさまに歯向かったから、です」
エリー
「ほう!」
エリー
「『白霧街』の『茨のバスカリオ』というと、それはそれは救世主にも噂がつたわるほどだが……」
クーレット
「……あ、有名なんですか」
GM
圧政の領主。不死身の救世主。
GM
後者についてはよくある噂の尾ひれ、かもしれない。
エリー
「私もあまり相手はしたくないと思ってはいたんだがなぁ!」
GM
しかし他の強力な救世主との裁判を何度も生き残っているのは、事実だった。
クーレット
「お気づきのように、ここの人たちはバスカリオさまに押さえつけられる現状を、受け入れてしまっています」
クーレット
「殺されたくないから黙っている。耐え忍んでいる。そんな人たちの街と化しています」
クーレット
「昔からいる人ほどその傾向は強いですが……ぼくはずっとここで生まれ育ったわけじゃないので、我慢できなくて」
クーレット
「それで、ああなっていた、というわけです」
エリー
「ふぅむ。まぁこの様子だと、反抗的なものはのきなみ殺されていそうだな」
エリー
昔からいる者にとっては、こんな騒ぎは自分に火の粉がかからないようにやり過ごすのが当たり前だろう。
GM
ギリゴの落とした斧は、何十人もの血を吸って汚れている。
クーレット
「…………」そういえば、隣のおばさんと最近会ってないような。
GM
あっけなく倒されたこの男も、街の住人にとっては恐怖の象徴のひとつだ。
クーレット
「かといって、毎日我慢し続けているのは嫌だったんです」
エリー
特徴から見るに代用ウミガメの末裔が、こう言うということはよっぽどなのだろう。
クーレット
「だから、ぼくが声をあげた。誰もやらなかったから、自然とぼくが立ち上がる形になってしまった」
エリー
「そしてお前以外誰も立ち上がるものはいなかった、と」
クーレット
「はい」頷く。
クーレット
「まあ、毎日同じことの繰り返し"だけ"なら我慢できたんですが」
クーレット
「個人的に、もっと食糧が欲しかったので……」
クーレット
この街に届く美味しいものは十割バスカリオの口に入っているとの噂もある。
エリー
「ふむ、堕落の国の食べ物事情は良いとは言えないが……ここは特にひどいのか」
GM
生かさず殺さずですね(圧政の基本)
クーレット
末裔の袖口から覗く指が、痩せ細っていることで酷さを察することができるだろう。
エリー
「碌なやつではないとは思っていたが、噂以上に面白くないやつだなぁ」
エリー
「そもそも圧政なぞしても取り分が減るだけだろうに……」
エリー
「よし!」
エリー
ぱん、と手を打つ。
エリー
「そのバスカリオ、私が退治してやろう!」
エリー
「どうせこのままではこの街でろくなものも手に入らないだろうし、なにより目に余る!」
クーレット
「えっ!?」
クーレット
思わず叫んでしまったが。
クーレット
その声色には喜びと、期待が込められている。
エリー
「どうせこの大男のこともあるしな。このまま街をはなれてもお前たちがひどい目にあうのは明らかだ」
エリー
「ただなぁ……」
クーレット
「ただ……?」次の言葉を待つ。
エリー
「私も一人でバスカリオの相手をするのは、なるべく避けたい」
エリー
ちらり、とクーレットに視線を向ける。
クーレット
「……!!」ぱあっと顔が、明るくなって。
クーレット
「はい、あなたさまがどういった方かは存じ上げませんが……あの華麗なステッキさばき、見とれてしまいました」
エリー
「ふふふ……そうだろうそうだろう!」
クーレット
「ぼくはクーレットと言います。一緒に、この街を圧政から救ってくれませんか」
クーレット
金色の瞳で、高らかに笑う少年を見つめる。
エリー
「よかろうっ!私はエリゼ・フォン・ウント・ツー・ヴァローリア。親しみを込めてエリー様と呼ぶがよい、クーレット」
クーレット
「エリーさま! ……これも何かの運命でしょう、一緒に立ち向かいましょう」
エリー
「よし、では手をだせ」
クーレット
「こう……でしょうか」
クーレット
掌を上に、痩せた手が向けられる。
エリー
おずおずと差し出されたクーレットの掌に、チャリチャリと硬貨が落とされる。
エリー
「私の6ペンスコインを授けよう。なくすなよ」
エリー
掌には10枚の6ペンスコイン。
クーレット
「これが……」救世主の、力の源。
クーレット
「ということは、エリーさまは救世主だったのですね!」
エリー
「その通り!」
エリー
「そうでもないと、あの体格差を相手にするのは難しいだろう……」
クーレット
「この世には、良い救世主さまもいらっしゃった……」
比較対象がバスカリオしかいないが。
クーレット
「コインがあれば、あの斧男みたいな力が出せる、かもしれませんが」
クーレット
「力を向ける方向は、あいつとは真逆です」
クーレット
これでやっとスタートラインに立ったような気分だ。
コインを大事そうに握りしめ、コートの内ポケットへしまい込む。
エリー
「うむ、構わない。クーレットの思うように振るうがいい」
エリー
「さて、そうと決まれば腰を落ち着ける必要があるな。宿に案内せよっ!」
エリー
わざとらしく大きな身振りで街をステッキでさす。
クーレット
「ははーっ」嬉しそうに案内します。
GM
というところでシーンを切りましょうか。
GM
導入が終わり、マスターシーンを挿入します。
GM
~一方、そのころ~
GM
ここは──
GM
よくわからない、暗い一室!
GM
薄明かりにぼんやりとシルエットが照らされるが、誰が誰かは判然としない……
GM
円卓に座り、顔を突き合わせる彼ら。
GM
そのうちの一人が、重々しく口を開く──
???
「強腕のギリゴが
 やられたようだな…」
???
「ウフフ……ギリゴはどうして白霧四天王になれたのかも
 怪しいオトコ……」
???
「あんな筋肉ダルマを倒して、いい気になられても困るわぁ」
???
「だが……間違いない。ヤツは救世主だ……」
???
「フフッ、面白い。」
???
「なら、ボクがそいつを倒してやろうじゃないか!」
???
「“簡捷なるタタママク”……」
???
「やれやれ。仕方ありませんね。油断はしないでくださいよ……」
???
……
???
マスターシーン終了です。